研究課題/領域番号 |
23790821
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
近藤 隆 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (90594870)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 内臓知覚過敏 |
研究概要 |
本研究では新たな内臓知覚過敏の評価法の確立と, 慢性ストレス負荷ラットにおける抗ストレスホルモンであるオキシトシンの内臓知覚過敏に対する効果を検討することを目的としている。平成23年度の研究計画として,1、内臓知覚過敏に対する評価法の確立と,2ヒトでの内臓知覚の評価法の確立を中心に研究を進めた。1、内臓知覚過敏に対する評価法の確立以前我々は急性侵害刺激の指標として,一次知覚ニューロンにおけるERK1/2のリン酸化が有用であるとの報告をした。しかしながら,最近の報告によるとERK1/2と同じ細胞間伝達物質であるp38 MAPKが特に慢性期における内臓知覚過敏に関与しているとの報告がある。従って,侵害刺激によりp38 MAPKが一次知覚ニューロンにおけるリン酸化が生じるかどうかについて実験を行った。具体的には胃内にバルーンで圧刺激を加えた2分後に、Th9/10レベルの脊髄後根神経節(DRG)を摘出し,p38 MAPK活性化の指標であるリン酸化p38 MAPKに対する抗体を用いて免疫染色を施行し,消化管知覚過敏とp38 MAPKの活性化に相関性があるのかどうかを検討した。そうしたところ,ERK1/2と同様にp38 MAPKも内臓侵害刺激によりリン酸化が生じることを確認した。この研究では慢性ストレス負荷ラットによる内臓知覚過敏を評価する必要があり,p38 MAPKが内臓知覚に関与していることが判明したことは重要な結果と考える。2、ヒト内臓知覚評価法の確立健常人の食道内に胃酸を還流する(酸還流試験)を行い,それに伴う食道知覚を,13のカテゴリーに分けた指標を用いて評価する方法を確立した。我々の実験では今後ヒトでの内臓知覚の評価法が必須となってくるため,今回ヒトでの知覚評価法の確立は大変意義があるものと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
内臓知覚過敏の指標の確立が重要であり時間を要した。また健常人における研究も合わせて行っており候補者の募集にも時間を要した。動物,ヒトの両方での指標が確立したので今後は予定通りに研究を遂行できるものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
以上の動物での内臓知覚の評価法を用いて,慢性ストレス負荷ラットモデルにおける抗ストレスホルモンの内臓知覚への効果を検討していく。また、最終的にはヒトで抗ストレスホルモンによる内臓知覚への影響を検討したいと考えており、動物実験での成果を積み重ねていくとともに、ヒト内臓知覚の評価法についても並行して研究を遂行していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
必要数のラットの購入とその飼育費,また実験器具類と、免疫染色を行うための抗体と実験試薬の購入に研究費を使用する予定である。
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