これまで私たちは血管内皮前駆細胞(EPC)を用いた肝硬変症に対する治療効果を報告してきた。ヒト臨床応用を考慮しEPCの表面マーカーのひとつであるCD34に注目し、CD34+細胞を用いた肝硬変症モデルラットに対する治療効果を検証した。ラット肝硬変症モデルにおいて移植したCD34+細胞は肝内で血管内皮細胞、肝類洞内皮細胞、血管平滑筋細胞へ分化し、移植細胞数依存性に肝線維化の抑制のみならず、肝再生の促進、予後の改善を認めた。増幅EPCを用いた実験では肝線維化率は増幅EPC投与群で有意に低値であり、線維化の進展が阻止できた。肝再生率は増幅前EPC移植群と比較し増幅後EPC投与群で明らかに増加していた。
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