研究概要 |
平成23年度の研究成果において、血管平滑筋細胞におけるFGF23の発現量が当初の予想より下回ったことから計画変更し、FGF23の血管における役割の検討をした。 FGF23の血管における役割の検討をした。まず、FGF23が血管平滑筋に作用しうるかを検討した。FGF23の受容体として知られている、FGFR1,FGFR2,FGFR3,FGFR4及びKlothoの遺伝子発現をRT-PCR法を用いて、確認したところ、いずれの遺伝子もHASMCにおいて発現しており、特にFGFR1の発現が豊富であることが明らかになった。 また、Western blot法にてFGF23が血管平滑筋に対して直接作用するかを検討した。FGF familyで誘導されるERKリン酸化、ついでEgr-1の誘導を確認した。よってFGF23が血管平滑筋細胞に直接作用している可能性が示唆された。次にFGF23が石灰化に影響を及ぼすかを検討した。アデノウィルスベクターを用いて、血管平滑筋にFGF23を導入したところ、石灰化の指標であるBMP2,ALP遺伝子が、LacZコントロールと比較して有意に低下していることをreal time PCR法にて認めた。また、ALP assayを用いて、FGF23によるALPの発現量を検討したところ、FGF23導入群で有意にALP発現量が低下していた。また、BCIP/NBTを用いてALP染色を行ったところ、FGF23導入群で有意にALP発現の低下を認め、かつ石灰化が誘導されるbeta glycerophosphateの刺激下でもALP発現の低下を認めた。さらに石灰化マーカー遺伝子であるMsx2,Runx2遺伝子が、LacZコントロールと比較して有意に低下していることをreal time PCR法にて認めた。よってFGF23は血管石灰化に抑制的に働いているものと考えられた。
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