研究課題
血管内皮細胞や血球細胞より放出される1μm程度のvesicle構造はMicroparticle(MP)と呼ばれ、動脈硬化との関連など各種病態との関連が報告されてきているものの、MPの機能や性質の詳細については依然として不明のままである。昨今の研究よりMPは細胞細胞間でmiRNAなどの核酸物質、脂質、蛋白などを運搬する役割が報告され、さまざまな局面で重要なはたらきをなしていることが報告されてきている。今回、血管内皮細胞由来のMPに注目し、MPと内皮細胞機能との関連についてin vitro及びvivoの系にて検討し、内皮細胞からの病態の修飾の道を模索した。その結果lysosome関連のマーカーであるLAMP-1やLAMP-2などの分子でラベルされたMPが確認され、lysosomeを修飾するような薬剤によってMPの産生が修飾された。またlysosomeの染色を行った後live cell imagingを行うことで、lysosome関連のvesicleが細胞外に放出されるのが確認された。またlysosomeの機能を修飾する薬剤(Chloroquineなど)を使用することによってmicroparticleの産生が修飾された。これらよりlysosome関連の蛋白を糸口にMPの解析を加え、さらに実際のヒトの末梢血においてさまざまな疾患と関連して変動するかしらべることがより有用であることが示唆された。これらの考えをもとにヒト検体を用いたMPの分離を行い、その動態把握につとめ、新たな内皮機能のマーカー検索をすすめたところ、MP内に含まれるmRNAの性質は動脈硬化のリスクによる影響を受けて変化することを確認した。この結果より、血液中のvesicleの血管障害への関与が示唆された。
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