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2011 年度 実施状況報告書

アディポサイトカインと心腎疾患

研究課題

研究課題/領域番号 23790845
研究機関名古屋大学

研究代表者

柴田 玲  名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任講師 (70343689)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードアディポネクチン / 心不全 / 慢性腎臓病
研究概要

1. ドキソルビシン心筋症に対するアディポネクチンの心保護効果を検討C57/BL6J野生型マウス(WTマウス)およびアディポネクチン欠損マウス(APN-KOマウス)、培養心筋細胞を用いた研究で、アディポネクチンが、ドキソルビシン(DOX)心筋症に対して保護的作用を有していることを明らかとした。そのメカニズムとして、心筋表面のカルレティキュリンをレセプターとし、細胞内のSphingosine kinase 1を介した、Aktの活性化にともなう、アポトーシス抑制が考えられた。本研究成果は、J Biol Chemに受理された。2. 慢性腎臓病とアディポネクチンの臨床的検討慢性腎臓病 (CKD)患者における血中アディポネクチン濃度の測定や頸動脈エコーによるCarotid atherosclerosisの評価により、アディポネクチン分泌異常を中心とした脂肪細胞機能異常と心血管疾患、腎疾患の関わりを検討した。CKD患者はnonCKD患者と比し、アディポネクチン濃度が高値で、Carotid atherosclerosisの合併症例が多かった。CKD患者群で、低アディポネクチン血症を有するケースでは、Carotid atherosclerosisが有為に進展していた。多変量解析において、低アディポネクチン血症と糖尿病は、Carotid atherosclerosisの有為な関連因子であった。アディポネクチン濃度測定は、CKD患者における動脈硬化病変の進展評価に有用であると考えられた。本研究成果は、Am J Nephrolに受理された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題は、アディポサイトカイン分泌異常を特徴とする「脂肪細胞機能異常」と「急性心不全」、「急性腎不全」との関係、その重要性を明らかにすることを目的としている。特に、善玉アディポサイトカイン「アディポネクチン」と近年我々が同定した新規アディポネクチンレセプターである 「Calreticulin」のこれら病態における役割を詳細に解明することにある。現在までに、すでに、上記のごとく、ドキソルビシンが引き起こす急性心不全でのアディポネクチン/Calreticulinの役割を明らかとし、慢性腎臓病における臨床的なアディポネクチン測定の意義を見いだしていることから、本研究は、おおむね順調に進展しているものと思われる。

今後の研究の推進方策

1. Acute Heart Failure(AHF)におけるアディポネクチンの役割を、各種アディポネクチンレセプター遺伝子改変マウス(Calreticulin(flox/flox)、AdipoR1-KO、 AdipoR2-KO)を利用したin vivoの系で、アディポネクチンレセプターの各種病態における役割とシグナル伝達経路を明らかにしていく。2. Acute Kidney Injury (AKI) におけるアディポネクチンの役割を、我々が開発した、腎微小循環をリアルタイムに観察定量化するシステムを用いて、尿細管周囲毛細血管血流に焦点を当てた、イメージングの面から解析していく。そこでWT、APN-KO、APN-TG、各種アディポネクチンレセプター遺伝子欠損マウスを用いて片腎摘虚血45分再灌流傷害によるAKIモデルを作成、尿細管周囲毛細血管イメージングからのアプローチでAKIにおけるアディポネクチンの役割を検討する。3. 各疾患患者様のアディポネクチン濃度を経時的に測定し、その臨床的意義を探る。

次年度の研究費の使用計画

遺伝子改変マウスを数種類使用する。これらマウスを用いて、急性心不全、急性腎傷害モデルを作成し、機能解析を行うため、動物実験のための維持費、飼料費に研究費の多くを要する。また手術器具一式や、ELISA kitを用いた各種サイトカインの測定、siRNA法によるアディポネクチンの機能解析等は、本研究において重要な部分を占めるためかなり多くの経費を要すると考えられる。また研究成果を、積極的に学会、論文等に公表していくため、その点に関しても費用を要する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件)

  • [雑誌論文] Association of adiponectin with carotid arteriosclerosis in predialysis chronic kidney disease.2011

    • 著者名/発表者名
      Hayashi M, Shibata R, Takahashi H, Ishii H, Aoyama T, Kasuga H, Yamada S, Ohashi K, Maruyama S, Matsuo S, Ouchi N, Murohara T, Toriyama T.
    • 雑誌名

      Am J Nephrol

      巻: 34 ページ: 249-255

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Adiponectin ameliorates doxorubicin-induced cardiotoxicity through Akt protein-dependent mechanism.2011

    • 著者名/発表者名
      Maruyama S, Shibata R, Ohashi K, Ohashi T, Daida H, Walsh K, Murohara T, Ouchi N.
    • 雑誌名

      J Biol Chem

      巻: 286 ページ: 3279-800

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Adiponectin mediates cardioprotection in oxidative stress-induced cardiac myocyte remodeling.2011

    • 著者名/発表者名
      Essick EE, Ouchi N, Wilson RM, Ohashi K, Ghobrial J, Shibata R, Pimentel DR, Sam F.
    • 雑誌名

      Am J Physiol Heart Circ Physiol

      巻: 301 ページ: 984-93

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Relation of a common variant of the adiponectin gene to serum adiponectin concentration and metabolic traits in an aged Japanese population.2011

    • 著者名/発表者名
      Tanimura D, Shibata R, Izawa H, Hirashiki A, Asano H, Murase Y, Miyata S, Nakatochi M, Ouchi N, Ichihara S, Yasui K, Yoshida T, Naruse K, Matsubara T, Yokota M.
    • 雑誌名

      Eur J Hum Genet.

      巻: 19 ページ: 262-9

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Pioglitazone prevents intimal hyperplasia in experimental rabbit vein grafts.2011

    • 著者名/発表者名
      Morisaki K, Shibata R, Takahashi N, Ouchi N, Maehara Y, Murohara T, Komori K.
    • 雑誌名

      J Vasc Surg

      巻: 54 ページ: 1753-9

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Circulating omentin is associated with coronary artery disease in men.2011

    • 著者名/発表者名
      Shibata R, Ouchi N, Kikuchi R, Takahashi R, Takeshita K, Kataoka Y, Ohashi K, Ikeda N, Kihara S, Murohara T.
    • 雑誌名

      Atherosclerosis

      巻: 219 ページ: 811-4

    • 査読あり

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公開日: 2013-07-10  

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