研究課題
Acute Heart Failure (LPS投与に伴う心機能低下モデル)におけるアディポネクチンの役割を検討。敗血症性ショックではグラム陰性悍菌細胞壁成分であるリポポリサッカライド(LPS)や腫瘍壊死因子(TNF)-αなどの炎症性サイトカインが惹起され、循環動態、血液凝固系、内分泌代謝系等に様々な影響を及ぼすことが知られている。特に心筋収縮力は著明に抑制され、難治性心不全を引き起こす。そこで、アディポネクチンの敗血症発症時の心機能低下における意義について,マウス敗血症モデルを用いて検討した。C57/BL6J野生型マウス(WTマウス)およびアディポネクチン欠損マウス(APN-KOマウス)に、LPS(10mg/kg)を単回腹腔内注射し、心機能低下モデルを作成した。心機能は、心エコーにて経時的に評価した。LPS投与6時間後に心筋組織を摘出し、炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-6)および抗炎症性サイトカイン(IL-10)の発現をreal-time PCR法を用いて定量評価した。その結果、LPS投与6時間後の心エコーによる心機能評価では、WTマウスに比較してAPN-KOマウスで左室腔の拡大(左室拡張末期径や左室収縮末期径の拡大)と心機能低下(左室内径短絡率の低下)を認めた。WTマウスに対して、アデノウイルスベクターを用いてアディポネクチンの投与を行ったところ、LPS投与に伴う心機能低下を予防した。また、APN-KOマウスでは、LPS投与後の心筋組織でのTNF-α、IL-6の発現がWTマウスと比較して、増加傾向、IL-10の発現が減少した。アディポネクチンは、LPS投与に伴う心機能低下に対して保護的作用を有していた。そのメカニズムとして、炎症性サイトカインの発現制御が考えられた。肥満や糖尿病状態での敗血症発症後の予後不良に、低アディポネクチン血症が関与している可能性が示唆される(現在投稿準備中)。
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