研究概要 |
ヘモグロビンとRSR-13の立体構造情報の検討により、RSR-13は、RSR-13の芳香環がヘモグロビンポケットにはまり込む事により、その効果を発すると予測された。そこで、RSR-13芳香環の置換基の構造を大きくする事でヘモグロビンとの結合が安定化し、薬剤効果が増強すると予測し、芳香環のメチル基をCF3に(SO1905)、CF3とBrに(SO1906)、ClとBrに(SO1907)変換した化合物を合成した。 最初に直接ヘモグロビンへの影響を検討するために、25℃、pH7.4の条件下で、ヘモグロビン溶液を用いて、ヘモグロビン酸素解離曲線を求めた。SO1905、1906、1907はいずれもヘモグロビン酸素解離曲線がVehicleに比し、右方移動しており、P50値は上昇した(P50, Vehicle: 4.6mmHg, RSR-13: 20mmHg, SO1905: 8.8mmHg, SO1906: 27mmHg, SO1907: 37mmHg)。さらに、SO1906、1907はRSR-13より右方移動を認め、P50値は上昇し、RSR-13より効果を持つ可能性が示唆された。 次に新規合成薬剤の赤血球膜透過性の影響等を加味するため、赤血球浮遊液を用い、37℃、pH7.4の条件下で、同様の実験を行った。赤血球浮遊液でのヘモグロビン酸素解離曲線の右方移動は、SO1905はRSR-13とほぼ同等であり、SO1906、SO1907はRSR-13より、さらなる右方移動、P50値の上昇を認めた(P50, Vehicle: 29mmHg, RSR-13: 60mmHg, SO1905: 58mmHg, SO1906: 83mmHg, SO1907: 86mmHg)。 以上より、SO1906、SO1907はRSR-13よりヘモグロビン酸素親和性を下げる事が明らかとなった。
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