研究課題
臨床研究では、当院倫理委員会認証の元、循環器内科入院または外来通院患者より、採血を行い、血清を凍結保存した。基礎研究において、動脈硬化モデルであるWHHL-MIラビットと対照群である正脂血症ラビットJapanese white (JW) ラビットより毎月早朝空腹時採血を行い、血清を-80℃に保存した。WHHL-MIラビットは月齢を経るごとに冠動脈や大血管における動脈硬化が進展することが報告されている。今研究では、同一個体におけるHDLの量的変化や質的変化の評価を行った。まず、異なる月齢のWHHL-MI家兎由来の保存血清を用いてHDL質的評価を行った。HDL質的評価は、コレステロール引き抜き能と、抗酸化能として、Paraoxonase(PON1) 活性測定を行った。WHHL-MIラビットにおいて動脈硬化進展、すなわち月齢による質的変化は認められなかった。次いで同月齢のJWラビットと、質的評価について比較検討を行った。JWと比し、WHHL-MIラビットは、血清HDL-C値が、約30%程度しか存在しない為、血清全体としての引き抜き能や抗酸化能は、WHHL-MIラビットにて低下していたが、HDL-C値で補正すると、むしろWHHL-MIラビットHDLが、引き抜き能や抗酸化能は高かった。ヒトにおいて、スタチン治療後にHDL-C値が変動することはよく知られているが、スタチン治療後のHDL質的評価は充分に検証されていない。そこで、スタチン投与前後血清を用いて、HDL質的評価を行った。スタチン投与にて、HDLは増加傾向を示し、増加したHDLの引き抜き能や抗酸化能は保たれていた。すなわち、HDLは、増加した分だけ、全体の抗動脈硬化作用を増強していることが確認された。以上より、HDL質的管理も重要であるが、HDL-C値、量でまずリスク評価することも重要であることが再認識された。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
Journal of Atherosclerosis and Thrombosis
巻: in press ページ: in press