研究課題/領域番号 |
23790854
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
孫 麗 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (10547508)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | lipase / HDL |
研究概要 |
まず、家兎における血管内皮リパーゼ(endothelial lipase, EL)過剰発現の影響に関する研究を開始している。今まで、我々はマウスモデルを用いて、ELの脂質異常症における役割を検証してきたが、マウスとヒトの脂質代謝系は相違点が多い。そこで比較的ヒトに類似した脂質代謝系を有する家兎にて研究を開始した。 ヒトEL過剰発現モデルとして、アデノウイルスを用いて、JW家兎にEL導入を試みている。マウス実験においては、ヒトELアデノウイルスの強発現において、血清HDL値の著明な低下を確認できた。マウスの100倍の体重を有する家兎では、100倍量のアデノウイルス投与を試みた。一度は、導入に成功し、ヘパリン投与後血清にてヒトELの発現を確認できたが、再実験では確認ができなかった。現在高濃度のアデノウイルスを作成しており、再々実験を予定している。 EL阻害研究は難渋している。ELの活性部位を認識する抗体を数種類作成し、家兎に投与し、経過を見ているが現状EL活性の低下やin vivoにおける脂質変化は認められていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
EL過剰発現モデルに関しては,H24年度中に再研究を行い、実験結果を示すことが可能と予想している。EL阻害モデルについては、現在作成中の抗体において、有意な結果を得ることができず、他の方法も含めて模索中である。
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今後の研究の推進方策 |
高濃度のヒトELアデノウイルスを精製し、JW家兎に投与する予定である。対照群としてLacZアデノウイルスを投与する。経時的に採血を行い、総コレステロールや中性脂肪、HDL-コレステロールの変化を調べる。仮説では、EL過剰発現でHDL-コレステロールの低下が認められるはずで、その際、ELにて変性をうけたHDLの質的評価を行う。具体的には、コレステロール引き抜き作用や抗炎症作用、抗酸化作用の検証を行う予定にしている。 EL阻害実験に関しては、いくつかの方法を検証していく予定である。現状のEL活性部位における抗体産生を継続し、抗体によるEL活性中和法や、家兎を用いた研究で報告のあるRNA干渉法によるEL産生抑制療法も検討している。
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次年度の研究費の使用計画 |
アデノウイルス精製のための、細胞培養用生化学試薬、超遠心チューブなどに使用する予定である。さらにHDL質的評価のための細胞、RIなどの購入費用に使用する予定である。また、抗体の作製やRNA干渉に関する製作費にも使用予定である。 家兎の飼育費にも使用する予定である。
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