副交感神経活動の活性化による抗炎症作用の分子機序を明らかにするために、マクロファージ細胞株において、内毒素刺激により惹起される炎症反応に対するドネペジル(ACh分解酵素阻害剤)の効果を検討した。その結果、ドネペジルはLPS誘導性のNF-κB核移行を抑制することにより抗炎症作用を示すことが明らかになった。AChや別種のACh分解酵素阻害剤では同様の効果が認められなかったことから、ドネペジルの抗炎症作用は本剤特異的であることが示唆された。in vivo系においては、塩化カルシウム誘発性の腹部大動脈瘤モデルが再現性に乏しく、ドネペジルの抗炎症作用を評価でき得るモデルの作成にまで至らなかった。
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