研究課題
核内に存在する転写調節因子であるHigh-mobility group box 1 (HMGB1)遺伝子を心筋にのみ発現したトランスジェニック(HMGB1-TG)マウスを以前我々は独自に作成し、HMGB1が心筋梗塞を縮小することを明らかにした。本研究ではさらに、HMGB1により幹細胞が心筋傷害部位へ誘導され心筋細胞へ分化するのか、血管新生・再生が促進されるのかを in vivo で明らかにすることを目的としている。心筋梗塞巣へ骨髄由来の細胞が誘導され発現しているかを検討するため、HMGB1-TGマウスに green fluorescence protein (GFP) マウスの骨髄を移植する。Recipientである HMGB1-TGマウスに 9 Gy の放射線照射を行うことで骨髄細胞を死滅させ、DonorであるGFPマウスを屠殺し両側大腿骨と脛骨を摘出した。大腿骨と脛骨の骨髄内をPBSでフラッシュし採取した骨髄細胞2,000,000個をシリンジに入れ、29ゲージの針を用いてHMGB1-TGマウスの尾静脈より注入した。骨髄移植後、3-4週間で骨髄細胞がRecipientに生着したところで、HMGB1-TGマウスの冠動脈を結紮し心筋梗塞を作成した。予定していたプロトコールの方法では心筋梗塞作成から数日で死亡するマウスが多く、また、生存したとしても2週間後に組織学的検討を行ったところ、GFP陽性の骨髄細胞浸潤はほとんど検出されなかった。そこで心筋梗塞作成後のHMGB1の血中濃度を測定したところ数日間のうちに急激に上昇することがわかったため、心筋組織の採取時期を早めることとし、また生存率を上げるために移植する細胞数を増やすようにプロトコールを変更し、現在、実験を継続している。今後、仮設通りのデータが得られれば、各種学会などで発表する予定である。
すべて 2013 2012 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (16件)
PLoS ONE
巻: 8 ページ: e53133
10.1371/journal.pone.0053133
PLoS One
巻: 7(12) ページ: e52667
Circulation Journal
巻: 76 ページ: 2153-2158
10.1253/circj.CJ-12-0453
Journal of Cardiology
巻: 60 ページ: 222-227
10.1016/j.jjcc.2012.01.021
medicina
巻: 49 ページ: 2072-2075
Heart View
巻: 16 ページ: 48-54