研究課題/領域番号 |
23790867
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
及川 雅啓 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (30457775)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 分子心臓病態学 / アポトーシス抑制 |
研究概要 |
研究に使用する心臓特異的PDE3過剰発現マウスを共同研究者であるロチェスター大学Chen Yan氏から譲渡を受け交配を行った。PDE3過剰発現マウスに虚血再還流障害を作成したところ、予想通り心筋梗塞サイズが抑制されることを確認し、その後の心臓リモデリングも抑制されることを確認した。梗塞領域においては、抗アポトーシスタンパクであるBCL-2の発現維持、アポトーシス促進に働くICERの発現抑制をPDE3マウスで認めており、PDE3による抗アポトーシス効果が心筋梗塞サイズ抑制の機序と考えられた。またPDE3過剰発現マウスでは心拡大、心機能抑制を認めるものの心不全徴候はなく、自然予後も野生型マウスと差を認めなかった。これらの成果を2011年アメリカ心臓病学会で報告した。またChen Yan氏と今後の研究について討議を行った。また、アンジオテンシン持続負荷心不全モデルの作成も行った。アンジオテンシンIIによる心機能障害の程度は野生型と差を認めなかったが、興味深いことにPDE3マウスにおいては、アンジオテンシンIIによる心肥大、心筋繊維化が著明に抑制されていることを確認した。また、アンジオテンシンの急性投与において心拍数上昇がPDE3マウスでは抑制されていることを確認した。このことは、cAMP-PDE3-PKA系とアンジオテンシン系のクロストークの存在を示唆しており、興味深い所見と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PDE3マウスにおいて、虚血再還流障害を抑制することを確認し、その機序を明らかにすることができた。また、アンジオテンシン負荷モデルにおいても心肥大・心筋繊維化を抑制することを確認することができた。それらのモデルにおいても心機能評価および組織学的検索は終了しており、おおむね目的を達成できていると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
アンジオテンシンIIによる心筋障害がPDE3過剰発現マウスにおいて抑制される機序を解明するため、cAMP-PDE3-PKA系とアンジオテンシン-TGFβ系のクロストークを中心に分子機序を検討していく。ウエスタンブロッティングおよびリアルタイムPCRによる検討、免疫組織学的検討を行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
心不全モデルマウス作成のための飼育費、手術費用。ウエスタンブロッティング、免疫組織染色に使用する抗体やPCRに使用するプライマーの作成費用。単離心筋細胞を用いた興奮収縮連関検討のための各種薬剤の使用費用。学会発表のための旅費および論文作成に伴う諸経費の申請を行う予定である。
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