研究概要 |
我々の研究目的は従来の候補遺伝子アプローチにより原因遺伝子が同定されない若年性・家族性心房細動症例に対し、最近利用可能となった次世代シークエンサーを用いて新規の変異遺伝子を同定しその機能解析を行うことである。家族性心房細動症例に対し、書面にて説明し同意を得た上で、遺伝子解析目的の末梢血採取を行った。これまでに収集したサンプルは11家系、内訳は家族性7例、若年性4例であった。これらの家系に対しPCR、DNAシークエンスにて塩基配列を解析した。候補遺伝子アプローチにより、KCNQ1, KCNH2, SCN5A, KCNE1, KCNE2, KCNJ2, CACNA1C遺伝子の解析を行なったが、これまでに家族性心房細動において報告のある遺伝子において変異は同定されなかった。 そこで次世代シークエンサーを用いて、原因遺伝子の検索を行なった。対象疾患は他に原因遺伝子の同定が比較的容易と考えられる他の心臓イオンチャネル病(ブルガダ症候群、QT延長症候群)も含めた。各症例より抽出したゲノムDNAを超音波破砕により断片化し、液相ハイブリダイゼーションにて標的エクソン配列を濃縮した。標的エクソンは循環器疾患に関連する原因遺伝子を網羅するものとした。得られた混合試料をIllumina社シークエンサーにより、標的エクソン配列の解析を行った。 今後報告済みのSNPを除去したのち、家族内の罹患患者と非罹患患者の標的エクソン解析結果を比較検討することにより、原因遺伝子の候補を絞り込む予定である。 また、新規原因遺伝子の同定が期待された場合は、疾患特異的iPS細胞による機能解析を行う予定である。
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