イヌ心筋梗塞(MI)モデルを用いて心室遅延電位(LP)の経時的観察を行い、重粒子照射(THIR) が慢性期の不整脈基質に及ぼす効果を検討した。MI 群では梗塞作成直後に出現したLPが、14日後には顕著となり1年続いた。THIR群では14日後からLPが軽減し始め、1年後には改善が進んだ。MI群で左室収縮能が低下したが、THIR群では14日後から収縮能が改善し、1年後には更に回復した。MI群で虚血境界領域におけるCx43の減少が認められたが、THIR群では発現亢進が認められた。MI群は全例VT/VF陽性であったが,THIR群では1例のみであった。THIRが不整脈基質を修復する可能性が示唆された。
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