研究概要 |
我々は低出力衝撃波が血管新生効果を有している事に注目し、末梢動脈疾患(PAD)に対する新たな治療法確立のため、平成23年度の研究目的として、その安全性と血流改善効果を検証した。<方法>膝下動脈に限局した病変を有する8人のPAD患者(Rutherford grade I-III)が登録された。虚血下肢腓腹部の6か所に低出力の衝撃波を照射、1日おきに合計6回施行した。主要評価項目は有害事象の出現、副次評価項目は虚血局所での血流改善とした。血流評価項目として、ABI、経皮酸素分圧(TcPO2)、皮膚潅流圧(SPP)、99mtechnetium-tetrofosmin (99mTc-TF) シンチグラフィーを治療前後で測定した。<結果>全例で有害事象の出現なし。ABI、SPPは、治療前後で有意な改善なし。TcPO2 は、腓腹部、前脛骨部では有意な変化はないものの、足背部で有意な改善(31.8 ± 17.4 → 50.4 ± 9.84, p=0.01)を認めた。99mTc-TFシンチグラフィーを用いた血流指数は、下腿部で変化がなかったものの、足部で有意に改善した(0.50±0.10 → 0.61±0.11, p=0.0003)。<結論>初期段階として低出力体外衝撃波は安全であり、その血流改善効果が示された。今後は、複数回施行による治療効果の延長作用の検証、高気圧酸素治療との併用による非侵襲的治療法の確立を行っていく。上記の研究成果を、日本心臓病学会シンポジウムで発表した。
|