研究課題/領域番号 |
23790893
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
榊原 智博 東北大学, 大学病院, 助教 (80422111)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | ピルフェニドン |
研究概要 |
本研究はピルフェニドンの標的分子を同定することを目的とした。方法はアフィニティー精製法を用いた。まずピルフェニドンの誘導体の合成を行った。ナノ磁性ビーズに結合させるために、ピルフェニドン誘導体の合成を外部に委託し、3種類合成した。それぞれをピルフェニドン誘導体-1,2,3(PD-1、PD-2、PD-3)と名付けた。次に標的分子を同定する目的にマウスマクロファージ由来の培養細胞である、RAW264.7細胞を大量に培養して、タンパク質を抽出した。培養した細胞を遠心分離し、リン酸バッファーで洗浄したあと、細胞溶解バッファーを用いて細胞を溶解した。その後遠心分離を行い、その上清を細胞質タンパク質画分とした。またその沈殿物(核)をさらに強力な溶解バッファーに溶解し、遠心分離を行ったあとその上清を核タンパク質画分として得た。次に上記ピルフェニドン誘導体とナノ磁性ビーズを結合させた。ナノ磁性ビーズはそのアームの末端がアミド基(-NH2)であるものを使用し、またピルフェニドン誘導体は、その側鎖の末端がカルボキシル基(-COOH)となるように、側鎖を導入して合成を行った。この両者をスクシイミド存在下に結合(アミド結合)させた。ピルフェニドン誘導体を結合させたビーズと上記タンパク質溶液を用いて、アフィニティー精製を行った。それぞれの誘導体(PD-1、-2、-3)が結合したビーズとRAW264.7細胞の細胞質画分タンパク質溶液、または核画分タンパク質溶液を4度で4時間インキュベーションし、その後洗浄したのちに煮沸して溶出した。その溶出したタンパク質をSDS-PAGE法で分離し、銀染色で可視化した。その結果、ピルフェニドン結合タンパク質の候補が、PD-1と細胞質画分を用いた実験系で2つ、PD-1と核画分を用いた実験系で1つ、PD-2と核画分を用いた実験系で1つ検出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度はピルフェニドン標的分子の同定までが達成目標であったが、同定までには至らなかった。その理由として東日本大震災により実験開始が大幅に遅れたことである。
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今後の研究の推進方策 |
今後はピルフェニドン標的分子の同定を質量分析で行う。その後同定したタンパク質を細胞内で過剰発現、または発現抑制を行い、ピルフェニドンを作用させた場合の細胞の変化を観察し、ピルフェニドンの薬理作用の分子生物学的な解明を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、今年度の研究が東日本大震災により遅延したことに伴い発生した未使用額であり、平成24年度請求額とあわせ、次年度に計画している研究の遂行に使用する予定である。
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