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2011 年度 実施状況報告書

リゾリン脂質による肺幹細胞調節機構の解明ならびに肺疾患治療に関する基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23790895
研究機関東北大学

研究代表者

兼平 雅彦  東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (90374941)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワードリゾリン脂質 / 細胞老化 / stemness / 肺幹細胞
研究概要

申請者はこれまでに、骨髄由来間葉系幹細胞(Bone marrow-derived mesenchymal stem cell;BMMSCs)において、リゾリン脂質(細胞膜の構成成分であるリン脂質の分解産物。細胞増殖、細胞遊走、炎症、創傷治癒など、種々の生理活性を持つことが報告されている)のシグナルを阻害することにより、細胞老化(Cellular Senescence)を抑制し、幹細胞性(Stemness)を維持できることを報告してきた。 一方で、マウスを用いた実験的肺炎モデルにおいて、サーファクタント(肺胞腔内を覆う界面活性物質。リン脂質を主成分とする)由来のリゾリン脂質による肺炎の治癒遅延が起こることが報告された。そこで申請者は、この機構が過剰なリゾリン脂質のシグナルによる肺幹細胞の枯渇に由来すること、ならびに、リゾリン脂質シグナルの阻害により、BMMSCsと同様に肺幹細胞のstemnessの維持が可能になると予想し、実験を遂行してきた。 本研究は、これまで不明な点が多かった肺幹細胞のstemness維持機構の解明ならびに「幹細胞ニッチ」の理解への端緒となるものと思われる。また、現在遅々として進んでいない肺の再生医療の研究を大きく進める原動力になるものと期待され、これまで肺移植以外に有効な治療法がなかった特発性肺線維症や、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの難治性肺疾患の治療への応用が期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

肺幹細胞は肺において非常にマイナーな細胞集団であり、実験に供するに十分な細胞数を得ることは困難である。現在、肺幹細胞のプールと考えられているSP(Side Population;Hoechst33342に染まらない細胞集団)分画を採取し、実験を行っている。

今後の研究の推進方策

今後はマウスの肺幹細胞の高効率の回収法の開発、ならびにマウス肺の初代培養法の確立を目標とする。また、難治性肺疾患のマウスモデルにおける、化学合成物質を用いたリゾリン脂質シグナルの抑制による治療効果の検討も同時に行っていく予定である。

次年度の研究費の使用計画

次年度使用額は、今年度の研究の進捗状況に遅れが生じたことに伴い発生した未使用額であり、平成24年度請求額とあわせ、次年度に計画している研究の遂行に使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Targeting lysophosphatidic acid signaling retards2012

    • 著者名/発表者名
      Kanehira M, Kikuchi T et al.
    • 雑誌名

      PLoS ONE

      巻: 7 ページ: e32185

    • 査読あり
  • [産業財産権] リゾリン脂質シグナル制御による幹細胞の維持増殖培養法2012

    • 発明者名
      菊地利明、兼平雅彦、貫和敏博
    • 権利者名
      菊地利明、兼平雅彦、貫和敏博
    • 産業財産権番号
      特許: P20110092
    • 出願年月日
      2012年01月06日

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公開日: 2013-07-10  

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