研究概要 |
myeloid系細胞は組織・周囲の環境により様々な特異的マクロファージ、樹状細胞へと分化し、ホメオスタシスの維持、自然免疫系感染防御、獲得免疫系への橋渡し、組織修復を担っている。しかし気道の慢性アレルギー性炎症を病因とする気管支喘息におけるmyeloid系細胞の働きに関して一定の見解は得られていない。本研究では、気管支喘息における肺内myeloid系細胞を新規サブセット毎に解析し、気管支喘息におけるmyeloid細胞の役割を明らかとすることを目的とした。平成23年の研究では、まず各種表面抗原によりアレルギー性気道炎症により誘導されるmyeloid系細胞を明確な7種に分類し、中でもCD11b+ CD11c+ MHC classII+細胞がアレルギー性気道炎症の局所で著明に増加することを明らかにした。この細胞は単球様形態を呈し刺激により樹状突起を出現させ、また高い抗原提示能を持つことから単球由来樹状細胞と考えた。この単球由来樹状細胞はarginase1, FIZZ1, Mgl1/2等を発現する一方、mannose receptor, Ym1等は発現しておらず、M2マクロファージの一部の性質を併せ持つ新規樹状細胞サブセットと考えられた。さらに気管支喘息の気道過敏性誘導因子であるarginase1に着目して解析した結果、この新規樹状細胞サブセットはアレルギー性気道炎症におけるarginase1の主要産生細胞であることを見出した(Arginase1-producing inflammatory DC (Ar-iDC)。Ar-iDCの肺への浸潤にはCCR2が関与すること、Ar-iDCの分化はSTAT6依存的に誘導されることも見出している。H24年度の研究では、CCR2欠損マウス、STAT6欠損マウス等を用いて、Ar-iDCの生理的意義と分化・誘導機構を解析予定である。
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