研究課題/領域番号 |
23790901
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
早稲田 優子 金沢大学, 大学病院, 医員 (80536037)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 閉塞性細気管支炎 / 同種造血幹細胞移植 / 肺移植 |
研究概要 |
実験(1)ヒト造血幹細胞移植(SCT)後閉塞性細気管支炎(BO)標本の細気管支領域におけるc-kitの存在2003年から2009年の間、金沢大学附属病院血液内科および関連施設においてSCTが施行され、合併症としてBOが発症し金沢大学附属病院呼吸器内科紹介となり、外科的肺生検により病理学的にBOと確定診断された3例(慢性骨髄性白血病1例、急性リンパ性白血病2例)。その3例のホルマリン処理された肺組織よりパラフィンブロックを作成し、未染標本を作製する。対象として当院にて手術を施行された自然気胸患者の肺組織を使用(3例)。外注業者に委託し、CD117(c-kit)の免疫染色を施行。結果としては、SCT後BO患者の細気管支周囲にc-kit陽性細胞の発現を多数認めたものの、コントロールの自然気胸患者との有意差は認めなかった。実験(2)マウスBOモデルにおけるイマチニブの効果の検討(1)BOモデル作成 当初は、c57BL/6マウスをレシピエントとし、c57BL/6マウスをドナーとしてSCTを行うAngelaらの方法によりBOモデルを作成を予定していたが、当該施設では施行が難しいと判断、それに代わる方法として、SCT後BOと、肺移植後BOとでは、BOが起こる機序は同一であるとの見解から、肺移植モデルに変更した。Davidらの方法により、6-8週齢のBALB/cマウスの気管を取り出し、6-8週齢のC57BL/6の皮下に埋め込み、1週-6週にて埋め込んだ気管を取り出しBOを評価した(David L Hele,Respiratory research, 2:169-183,2001)。ホルマリン処理を行い、パラフィンブロックを作成し、未染標本を作製し、H-E染色にて、BO発症の割合を評価したところ、週数に比例してBOがほぼ100%出来ていることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していたSCTモデルは当該施設では施行困難と判明し、それに代わる方法を慎重に検索、実験計画の再検討をしていたことにより、当初の予定よりは遅れているが、現在、BOモデルは完成しており、同じ内容にて実験再開している。
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今後の研究の推進方策 |
現在完成したBOモデルを用い、実験を進めていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
(1)マウスBOモデルにおけるイマチニブの効果肺移植モデルマウスにおけるBOが発症するのは約100%と考えられるため、1.SCT+アラビアゴム群 2.SCT+イマチニブ群 3.ノーマル+イマチニブ群 4.ノーマル+アラビアゴム群 の4群を10匹ずつ計40匹作製する。チロシンキナーゼ阻害薬であるイマチニブ100mg/kgをアラビアゴムにより作成したゲルに懸濁し、毎日経口投与する。投与開始から60日後にマウスを屠殺し、マウスから肺を取り出し、かつ、心臓穿刺にて採血を行う。ホルマリン処理を行い、パラフィンブロック作成し、未染標本を作製。H-E染色、CD-117(c-kit) の免疫染色を行う。一部は-80℃の冷蔵庫で保存。H-E染色においてBO発症の割合を評価する。CD-117(c-kit)免疫染色においてCD-117陽性細胞の割合を評価する。線維化の指標としてSchrierらの方法に従い、肺組織のヒドロキシプロリン測定を行う(Schirier et al. Am Rev Respir Dis 127:614-617,1983)。(2)マウスBOモデルにおける炎症性サイトカイン動態への影響両モデルにおけるCCL-2(MCP-1)、CXCL1(KC)、CXCL2(MIP-2)、IFN-γ、TNF-α、VEGF、IL-10、IL-5、IL-6、IL-13、IL-12p70、IL-17をLuminex社のマルチプレックスアッセイにて測定、PDGF-AB、CXCL10(IP-10)、TGF-βはR&D社のELISAキットにて測定。実験内容の微細な変更に伴い、実験が遅延しており、平成23年度にイマチニブの購入を行う必要がなくなったため、その分が未使用となった。イマチニブは平成24年度に購入予定である。
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