研究課題/領域番号 |
23790917
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
佐藤 隆 横浜市立大学, 医学部, 助教 (70510436)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 免疫制御 |
研究概要 |
本研究は、難治性の急性・慢性炎症性呼吸器疾患の病態改善を目指した新規吸入型治療薬の開発を目的とし、これまでの基盤研究の結果に基づき、合成免疫調節製DNAを医薬品素材として提唱し、生分解性ナノ粒子への封入による新規吸入デリバリーシステムの開発と評価を行うことに意義がある。平成23年度は当初計画よりも進展があったため、平成24年度に作成・使用予定であった蛍光標識オリゴ封入ポリケタルナノパーティクルの作成を前倒しした。蛍光標識オリゴを使用することにより、抗炎症作用を発揮するオリゴ封入ポリケタルナノ粒子の肺内での局在、炎症部位での親和性を評価する準備が整い、吸入トライアル試験とあわせて実際のモデル動物における肺内分布をin vivo蛍光定量トモグラフィーで確認する準備を進めている。平成23年度はFlexiventを使用したポリケタルナノ粒子による吸入トライアル試験を開始しており、経時的呼吸機能結果の集積と解析を通して、さらなる投与スケジュールと投与量の改善を図っている。経時的呼吸機能結果の集積を通して、再投与のタイミングの適切な判断が可能となり、またそれを裏付ける組織学的評価を行う適切なタイミングの提案が可能と考えられるため、現在慎重に結果の解析とデータ精度向上を目的とした追試を行っている。これらの解析結果に基づき、呼吸機能と関連する病理組織学的評価の準備をすすめるとともに、長期観察結果にもとづく安全性に関する評価の準備も進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の交付申請時の研究実施計画に加えて蛍光標識DNA封入ポリケタルナノ粒子作成の前倒しを行い、これまでの吸入トライアル試験に加えて、肺内分布の経時的観察を目的としたin vivo蛍光定量トモグラフィーを行う準備を整えている。現在、吸入トライアル試験と経時的呼吸機能測定結果の集積と解析をすすめたうえで、吸入量と吸入タイミング、再投与のタイミングの評価を慎重にすすめている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度はこれまでに作成したナノパーティクルとともに新たに作成した蛍光標識DNA封入ポリケタルナノパーティクルを使用した吸入トライアル試験を行い、Flexiventを使用した経時的呼吸機能測定結果のさらなる実績と結果の集積を行うこと。これらの結果から、再度適切な吸入療法のタイミングと吸入量の検討を行うことが必要である。また呼吸機能結果をみながら、適切な組織学的評価の時期を決定し、組織学的評価の集積をすすめ、呼吸機能結果と関連する組織学的変化の有無を見出すことが最大の課題である。今後の臨床応用を考慮するうえでは、最終的に24週に及ぶ長期観察試験を行い、安全性に対する評価を行うことも今後の研究の推進方策とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、設定した期間で組織標本に供された、モデルマウスの肺組織標本を中心とした組織学的評価を目的として適切に研究費を使用する。具体的には肺組織の全体的な炎症評価を行うとともにポリケタルの炎症部位親和性を評価することが大きな目標である。したがって、研究費は(1)肺内での末梢・中枢の局在と経時的変化。(2)線維化部位・肉芽腫形成部位・傍気管支リンパ節における局在と経時的変化を観察するための組織標本作成・染色・病理学的評価を中心として適切に使用する。
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