研究課題
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の中心的な発症メカニズムは慢性的な炎症である。我々は、肺線維芽細胞を用いたin vitro解析で、COPDの主病態と考えられる「異常な炎症」の制御因子として特定のmicroRNA、miR-146aを見出した。今年度は、我々が確立したCOPDモデルであるSMP30-KOマウスを用いて、miR-146aがCOPDの異常な炎症に与える影響についてin vivo解析を行った。SMP30-KOのCOPD発症は飲水中のビタミンC濃度依存性であることが分かっている。そこで、SMP30-KOをビタミンC充足条件(1.5g/L VC水)あるいは欠乏条件(0.0375g/L VC水)に群別し、タバコ煙曝露実験を行った。まず、肺組織中miR-146a発現の経時的変化をみたところ、miR-146aはビタミンC欠乏条件下で、ビタミンC充足条件下と比較して、比較的早期の時相(4週まで)において発現が亢進することが分かった。一方、それ以降においてはビタミンC投与条件に関わらず、発現の抑制がみられた。また、肺組織中のCOX-2およびIL-6も、ビタミンC欠乏条件下の早期の時相で、発現の亢進が観察された。次いで、タバコ煙曝露により誘導される炎症反応の早期の時相にmiR-146aが与える影響をみるために、miR-146a inhibitor投与下に2週間のタバコ煙曝露実験を行った。その結果、肺胞洗浄液(BALF)においてはmiR-146a inhibitor投与下でのタバコ煙曝露により、総細胞数およびリンパ球分画の増加がみられた。また、BALF中のPGE2および肺組織中のCOX-2も有意に増加していた。今回の結果から、miR-146aがタバコ煙曝露により誘導される炎症反応の比較的早期の時相に関与する可能性が示唆される。
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