研究課題/領域番号 |
23790925
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
木村 聡一郎 東邦大学, 医学部, 助教 (60408870)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 緑膿菌 / c-di-GMP / Quorum sensing / 肺炎 / 病原性 |
研究概要 |
本研究では、c-di-GMPを介する病原性制御機構を対象とした新規治療法のターゲット分子と病原因子制御薬を探索し、マウス感染モデルを用いて評価を行う予定である。本年度は、以下の3項目について検討を行い以下の結果を得た。<1.候補遺伝子の選抜・遺伝子欠損株の作出>候補遺伝子として選抜されたPA1727遺伝子については、遺伝子欠損株を作製した。もうひとつの候補遺伝子PA2567については、PA1727欠損株の評価状況を受けてから遺伝子欠損株の作製を試みる予定である。<2.遺伝子欠損株の評価>候補遺伝子は、病原性制御機構に関わる主要な遺伝子であるため、遺伝子欠損により病原性に強く影響を及ぼすと予測される。そこで、緑膿菌の代表的な病原因子(lasA、lasB、aprA、pslA、pelA)、他の病原性制御機構であるQuorum sensingシステムに関連する遺伝子(lasI、lasR、rhlI、rhlR)に対して遺伝子発現に及ぼす影響を、定量的realtime-PCR法により測定した。尚、欠損株が野性株と比較して病原性の低下以外(増殖性、形態、等)に大きく差がないことを確認した。さらに、遺伝子欠損株に対してプラスミド上に該当遺伝子を組み込んだ遺伝子相補株も作製し、遺伝子欠損株もしくは野生株との比較を行った。遺伝子欠損株については、マウス肺炎モデルを作製し、肺内菌数および生存率にて評価を行った。<3.病原因子制御薬の選抜>上記遺伝子欠損株や野性株のマクロライド剤(5種)の影響を調べた。さらに複数のマクロライド剤を用いて構造相関性などを検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた計画については、概ね計画通りに実施しており、候補遺伝子の評価については予備的検討としてマウス感染モデルを用いた検討なども行っている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に沿って実施する予定であるが、特に以下の点については研究計画に修正・追加して実施予定である。<候補遺伝子欠損株の作出>2つの候補遺伝子が選抜されているため、既に得られているPA1727欠損株の評価状況を考慮しながらPA2567遺伝子欠損株を作出する予定である。<バイオフィルムに関する検討>今年度の実施結果および最近の知見から、病原因子の中でも特にバイオフィルムに関しては、さらに検討する必要があると考えた。これに関しては、共焦点顕微鏡などを用いて検討を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の予定よりも研究費の使用が少なかったため、次年度に消耗品費および旅費を繰り越した。消耗品費に関しては、新しい研究計画が挙がったことから、これに対して使用することを考えている。また旅費に関しては、研究調査および参考となる研究成果を挙げている研究者との討論のため、年初に行われる学会に参加予定である。
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