本研究では、cyclic di-GMP(c-di-GMP)を介する病原性制御機構を対象とした新規治療法のターゲット分子を探索し、マウス感染モデルを用いてその評価を行うことを目的としている。これまでの検討により、ターゲット分子としてc-di-GMP分解酵素が病原性に関与すること、またその欠損株ではマウス肺内での増殖性が低下することが分かっている。本年度は、上記欠損株に対する遺伝子復帰変異株を作成し、感染後のマウスの免疫反応を中心に検討を加えた。 野性株、遺伝子欠損株および遺伝子復帰変異株をそれぞれ10の6乗 CFU/mouseとなるように経鼻的に感染させ、その後の肺内菌数を測定した。野性株および遺伝子復帰変異株では肺内菌数の有意な増加が見られたが、遺伝子欠損株では菌数の増加は見られなかった。その時の炎症性サイトカインを測定したが、有意な差はみられなかった。
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