研究課題
私たちは、このプロジェクトで、膜性腎症の病態、病因を明らかにすることを目的にして研究を行ってきた。私たちが考案した方法である、ショットガン法によるプロテオーム解析と、単純かつ効果的なヴィジュアル ベーシック言語(VBA)を組み合わせた方法(All and None方法)を用いて、膜性腎症の30症例の腎組織で、解析を行った。まず、膜性腎症の腎組織切片で病変が認められた糸球体をレーザーマイクロダイセクション(MMI, CellCut)で切り取り、50個の糸球体を集めた。その後、それらの糸球体からタンパク質を抽出し、トリプシンで消化し、c-18カラムのステージチップで精製後得られたペプチド(50個の糸球体から1マイクログラム)を用いて、ハイパフォーマンス質量分析装置(LC-MS/MS)で分析、解析を行った。また、正常腎組織切片を用いて、同様に解析を行い、比較対照とした。タンパク質の同定には、マスコット解析ソフトを用いた。その結果から、膜性腎症の糸球体で特徴的な、病因、病態にかかわると思われるタンパク質を選び出し、そのプロテオーム情報をまとめた。また、これらのタンパク質のいくつかについて、発表されている文献を参照し、より詳細な検討を行った。更に、このデータをHuman Kidney and Urine Proteome Project (HKUPP)のデータベースと統合させ、膜性腎症の病態生理学的解明に役立てていきたい。
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