研究課題/領域番号 |
23790943
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
井上 達之 京都大学, iPS細胞研究所, 研究員 (60598564)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | IgA腎症 / 糖鎖解析 / アディポネクチン / バイオマーカー |
研究概要 |
IgA 腎症に関連する因子であるとされる糖鎖異常を有するIgA 分子による炎症制御機構の解明、糖鎖不全IgA の検出によるバイオマーカーの開発を目的として、当該年度における計画を実行した。平成23年度計画として糖鎖不全IgAによる糸球体炎症制御機構を明らかとするため、以下を実施した。(1)糖鎖不全IgAによる炎症制御を解明するため、培養ヒト糸球体メサンギウム細胞並びにヒト糸球体血管内皮細胞に対する、糖鎖不全IgA刺激によるサイトカインアレイ解析を行った。糖鎖不全IgAはいずれの細胞においてもアディポネクチンがダウンレギュレーションされた。(2)アディポネクチンの腎生検標本上での発現解析の検討では、IgA腎症においてはその発現が糸球体において低下した。平成24年度計画の腎組織及び尿における糖鎖不全IgAの証明について一部検討を行った。(1)腎組織における糖鎖不全IgAを証明するため、ガラクトース不全を認識するHAレクチン染色を行い、本疾患においてはIgA沈着領域でのHAレクチン染色を検出することが可能であった。(2)糖鎖不全IgAの尿中バイオマーカーとしての有用性の検討のため、尿検体でのHAレクチンとシアル酸検出するSNAレクチンによるレクチンアッセイをおこない、組み合わせる方法を開発した。IgA腎症は他疾患と比較し有意な糖鎖不全IgA(HA/SNA比)を認めた。これらの成果はPLoSOne誌に報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成23年度の計画に関しては、IgA腎症患者血清からのIgA1分離に成功していないが、それ以外はほぼ完了した。さらに平成24年度計画についても糖鎖不全IgAの検出法を腎組織ならびに尿中で証明し、本疾患での有用性を見出した。これらの成果はPLoSOne誌に報告した。PLoS One. 2012;7(3):e33965. Epub 2012 Mar 23
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度の研究計画よりIgA腎症患者からの糖鎖不全IgAの分離の検討を行い、培養系での解析を行う。また平成24年度計画においても、一部疾患との間の比較は可能であったが、計画の通り、前年度成果のあったアディポネクチンとの関連、また治療による影響などの検討をさらに行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
主に培養実験、染色、ELISAに使用する物品費が中心となる。また、さらに研究成果がまとまれば、学会報告、論文作成の費用として使用する。
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