研究課題
我々は急性腎障害(AKI)におけるオートファジーとアポトーシスの情報伝達系と病態での役割について検討している。オートファジーとSirt1の腎障害での役割についての検討では、アポトーシスはAKIの病態において重要な役割をもつが、その調節遺伝子としてのAMPKとsirtuin familyの役割は不明な部分が多く、まず虚血再灌流モデルラットを使用してAKIの尿細管障害でのAMPK, Sirt1の保護的役割を検討した。AKIにおいてSirt1の発現亢進が抗アポトーシス効果を増強されていることが示唆されたが、AKIにおけるオートファジーとアポトーシスの情報伝達系と病態での役割は依然として不明な点が多く、さらに発展させてその解明を行っている。これまでAKIにおいてsestrin2やBNIP3がautophagyを誘導すること、VASH-1の強制発現によりSODとSirt1のmRNAと蛋白発現が亢進し低酸素下でのapoptosisが減弱したことを報告した。さらにThioredoxinと結合し酸化ストレスを調整する蛋白であるThioredoxin-interacting protein (TxNIP)のAKIでの役割・発現調節機序とミトコンドリア機能への影響を検討し、AKIにおいてTxNIPは尿細管細胞において発現誘導され、inflammasomeを活性化し、ミトコンドリア機能調整を介して尿細管障害を引き起こしている可能性が示唆された。加えて、加齢と虚血による腎機能低下の機序についても検討を行い、近年MicroRNA(miR)-34aはphosphatase 1 nuclear-targeting subunit(PNUTS)を標的とする事が報告されているが、腎臓においても加齢および低酸素においてmiR-34aは亢進し、PNUTSは発現低下したことから、これらの系がCaspase活性の変化を含めて加齢とAKIの病態に重要な働きをしている可能性が示唆された。以上のようにオートファジーとアポトーシスの腎障害、主にAKIにおける情報伝達系と病態解明のため検討を進めている。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (19件)
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