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2011 年度 実施状況報告書

腎疾患尿細管に見られる蓄積脂質をターゲットとする新規治療の確立を目指した基礎研究

研究課題

研究課題/領域番号 23790951
研究機関岩手医科大学

研究代表者

米澤 正  岩手医科大学, 薬学部, 助教 (50469988)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワードネフローゼ
研究概要

本研究の目的は、種々の腎疾患においてみられる腎尿細管上皮細胞へのコレステロールエステルなどの蓄積脂質について、基礎的な疑問を解決し、病態の進展に対して脂質が蓄積することの意義を明らかにすること、さらにその蓄積脂質をターゲットとした新たな治療へと展開するための研究基盤を確立することである。 ネフローゼモデル腎において観察された核内受容体LXRαの発現亢進を出発点とし、LXRαを高発現する尿細管上皮細胞というin vivoを反映した細胞モデルの作製に成功した。そのLXRα高細胞では、Mock細胞が細胞内に脂質を蓄積する条件下においても、蓄積はほとんどみられず、LXRアゴニストの添加によって、蓄積の減少がさらに進むことを見いだした。このことからネフローゼ腎においてLXRαが発現亢進することは、腎が蓄積した脂質を減少させる方向への働きかけていると考えることが出来る。またin vitroにおいてはABCA1(ATP-binding cassette transporter A1)のノックダウンにより脂質の蓄積が増加することも見いだしている。 一方炎症・線維化反応と脂質の関連について、炎症性刺激(IL-1β)を添加した尿細管上皮細胞において、細胞内に蓄積する脂質が増加することを見いだしており、今後発現変動する遺伝子、たんぱくの解析を行う予定である。 さらに腎選択的な薬物送達を目指した検討として、蛍光標識したリポソームを尾静脈内投与し、腎における観察・評価が可能であることを示した。そしてポリエチレングリコールにより表面修飾を施したリポソームは、糸球体内に多く見られた未修飾のリポソームと比較して、尿細管間質領域に多く分布する可能性が示唆されている。今後の検討で腎特異的な薬物送達の基盤を作りたいと考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

23年度のGeneChip、LCM解析において有用な情報を示唆するデータは今のところ得られていないが、その場合を想定して24年度に実施予定であった脂質蓄積メカニズムの解明(in vitro)やLXRαの高発現細胞の作製にはすでに取り組み、後者では新たな知見を得ることが出来た。予定していたアプローチでおおむね進行しており、今後更なる検討をおこない業績とすることを目標に取り組む。

今後の研究の推進方策

23年度のGeneChip、LCM解析において有用な情報を示唆するデータは今のところ得られていないが、核内受容体LXRに関して、当初にはなかったサブタイプ(αとβ)による作用の違いという新たな着目点を見つけることが出来た。上記両解析から得られたデータの解析は引き続き継続しながら、LXRβのノックダウンをin vitro系で行い、αとの機能の違いについて検討し、代謝関連遺伝子を多岐にわたってコントロールしているLXRについて新たな知見を見いだしたいと考えている。 23年度計画分において、LXRアゴニストのリポソーム封入が未到達であるため、内封率の評価まで早期に完了し、24年度の計画を実施する。

次年度の研究費の使用計画

23年度において動物実験が当初の実施計画に比べて遅れたため、次年度への繰り越しが若干生じた。次年度においてはこの度請求する研究費とあわせて、動物実験を積極的、効率的に実施したいと考えている。

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公開日: 2013-07-10  

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