研究概要 |
本研究は申請者がこれまでに同定した、自己免疫疾患の発症・進展に重要な役割を演ずる可能性のある新規樹状細胞(Dendritic cell: DC)サブセットの機能解明、及びこの新規サブセットを含むDCの糸球体腎炎発症・進展への関与を解明し、治療応用の基礎を築くことを目的としている。 平成23年度の研究成果から、新規DCサブセットはPGE2存在下で刺激を受けたDCと非常によく似た特徴を有していることが明らかとなった。 平成24年度は、新規DCサブセットの腎炎惹起メカニズムについて解析することを目的としていたが、本研究課題でのターゲット疾患である糸球体腎炎を効率よく惹起するマウスモデルが作製できていなかったことから、これらの解析は十分には成し遂げられなかったが、腎局在DCとPGE2の関係に着目し研究を行なった。その結果、腎局在DCはPGE2存在下においてLPSなどの炎症刺激を受けるとPGE2受容体EP1, EP2, EP3, EP4それぞれの発現レベルが上昇し、さらにIL-6等の炎症性サイトカイン産生も増加することを明らかにした。PGE2存在下でLPS刺激を受けると非存在下で刺激を受けた場合と比較してPGE2の合成に関与するCox-2, mPGES-1発現も上昇することを明らかとした。 以上の研究成果より、PGE2は骨髄細胞から誘導したDCだけでなく、腎局在DCにも作用し炎症を促進させる可能性が考えられ、DC-PGE2経路が糸球体腎炎の発症・進展機構へ関与することが示唆された。
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