研究課題/領域番号 |
23790970
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
仁木 加寿子 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (50447645)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | DJ-1 / パーキンソン病 / PARK7 |
研究概要 |
[具体的内容]申請書に記載した計画のうち「酸化ストレス時に分泌されるDJ-1の機能解析」と「DJ-1 のプロテアーゼ機能の解析」について主に成果が得られました。「酸化ストレス時に分泌されるDJ-1の機能解析」については、家族性パーキンソン病で報告されている変異型DJ-1の分泌が野生型DJ-1より減少していること、酸化ストレス条件下においてDJ-1の分泌により共培養した神経細胞の細胞生存率が増加した事などを明らかとしました。これら得られた知見を元に、分泌されるDJ-1の量・状態(還元型・酸化型など)・機能を総合的に解析する事で、血液などのサンプルから生体内での酸化レベルを知る事ができるようになり、パーキンソン病を含む神経変性疾患リスクをモニターする事が可能になり、早期発見・早期治療につながる可能性を持っており、意義深いと考えています。「DJ-1 のプロテアーゼ機能の解析」については、当初の計画にほぼ沿う形で進める事ができ、現在までにDJ-1によって切断される配列の絞り込み、および基質探索で成果が得られています。これら得られた知見を元に、神経変性疾患の治療戦略として、DJ-1を投与をする事により異常タンパク質の蓄積を緩和することができれば、極めて有効な手段となり得ます。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に記載しました計画のうち2つにつきましては、[研究実績の概要]にも記載致しましたが、おおむね順調に進んでいます。申請書に記載した計画のうち「DJ-1の神経細胞再生・修復機能の検討」について解析がやや遅れておりまして、その理由につきましては、本申請課題以外に使用するDJ-1ノックアウトマウスの使用量が予想外に増加した点と、解析に必要なマウス初代培養細胞系の改善などを行っていたためですが、現在はそれら問題点は解消致しております。
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今後の研究の推進方策 |
「DJ-1の神経細胞再生・修復機能の検討」の解析を主に進める予定で、DJ-1 の神経細胞再生を観察するために初代神経培養細胞を作製し、機械的もしくは薬剤により傷を作製し、神経再生を経時的に観察・測定します。また、「酸化ストレス時に分泌されるDJ-1の機能解析」と「DJ-1 のプロテアーゼ機能の解析」につきましては、23年度の各アプローチの結果を総合的に組み合わせた解析を行います。方法としては、MPTP誘発性パーキンソン病モデルマウスをDJ-1ノックアウトマウス及び野生型マウス(C57BL/J)を元に作製し、分泌されるDJ-1の量・状態(還元型・酸化型など)を測定し、パーキンソン病症状をロタロットテストなどの運動能力実験と合わせて解析します。また、それらの実験系にDJ-1およびDJ-1ΔH9を投与すると改善されるか等についても解析します。
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次年度の研究費の使用計画 |
[現在までの達成度]でも記載致しましたが、申請書に記載した計画のうち「DJ-1の神経細胞再生・修復機能の検討」について解析がやや遅れておりまして、この解析が3つの解析のうち最も経費がかかる実験であったために、平成24年度への繰り越しが多く生じました。遅れていました解析につきましては、平成24年度の計画に加えて行う予定でおりますので、繰り越した分につきましては、該当解析に必要なマウス及びラットの購入費等の消耗品費に使用する予定です。平成24年度の研究費は主に分子生物学試薬、培養器具・試薬、マウス及びラットの購入費等の消耗品費及び、学会出席旅費に使用する予定です。
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