「酸化ストレス時に分泌されるDJ-1の機能解析」 家族性パーキンソン病患者で報告されている変異型DJ-1の細胞外への分泌が野生型DJ-1に比べて少ないこと、酸化ストレス条件下においてDJ-1の分泌により共培養した神経細胞の細胞生存率が増加した事などを明らかとしました。 「DJ-1のプロテアーゼ機能の解析」 DJ-1のプロテアーゼとしての性質の解明を行い、DJ-1によって切断される配列の絞り込みから基質探索を行い基質候補を得ました。この「DJ-1のプロテアーゼ機能の解析」を中心として2013年にFEBS Letterにて発表致しました。 「DJ-1の神経細胞再生・修復機能の検討」 マウスおよびラットから作成した初代神経培養細胞にマウス由来アストロサイトを共培養した際に、酸化ストレス条件下で、ノックアウトマウス由来アストロサイトを用いた共培養の初代神経培養細胞の方が野生型マウス由来アストロサイトを用いた共培養の初代神経培養細胞に比べてより脆弱でした。この事について、本当に細胞外に分泌されたDJ-1が原因なのかを確かめるために、抗DJ-1抗体を細胞培養液中に添加し、その際の初代神経培養細胞の酸化ストレスへの脆弱性を検討しました。その結果、野生型マウス由来アストロサイトを用いた共培養の初代神経培養細胞に抗DJ-1抗体を添加すると、酸化ストレスへの脆弱性が高まりました。その一方で、ノックアウトマウス由来アストロサイトを用いた共培養の初代神経培養細胞に抗DJ-1抗体を添加した場合においても、IgGを添加した場合にも変化は見られませんでした。この事から、初代神経培養の抗酸化ストレスにおいてDJ-1が重要な働きをしている事が明らかとなりました。今後はさらに神経細胞再生・修復機能に踏み込んだ解析を行いたいと思います。
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