研究課題
グルコセレブロシダーゼ変異型fibroblast(wt/wt、R120W/L444P、RecNciI/L444P, N370S/N370S, L444P/L444P)に、ミトコンドリア複合体I阻害薬であるrotenone, MPP+を暴露したところ、変異型ではより強くcaspase-3依存性の細胞死が誘導された。一方で、培地からブドウ糖・fetal bovine serumを除くことによりstarvation負荷をかけたところ、変異型においてより強いLCIII-2がウェスタンブロットで確認された。このことからオートファジーが誘導されているものと考えられた。グルコセレブロシダーゼはライソゾームで機能するタンパクであることから、他のライソゾーム関連タンパクについても同時に検討を行った。カテプシンD, Lではそれぞれ断片化がみられたものの、野生型と変異型では差がなかった。しかし、カテプシンBの断片化(=活性化)は変異型において有意に強くみられた。カテプシンB基質を用いた酵素活性測定においても同様の結果が得られた。さらに、カテプシンBの断片化は、オートファジー阻害薬で抑制することが可能であった。これらの結果より、グルコセレブロシダーゼ変異を持つ細胞はオートファジーにおいて脆弱性を持つ事、さらにこの過程においてカテプシンBが関与することが明らかとなった。今後、カテプシンBの機能をより詳細に解析する事によりグルコセレブロシダーゼ変異のもたらす細胞毒性が明らかになると思われる。
2: おおむね順調に進展している
当初の予想とは異なる実験結果が得られたが、実験方法の一部変更によっておおむね順調に進んできているため。
カテプシンBとα-シヌクレインをHEK293TおよびSH-SY5Yに共発現させる。このとき、α-シヌクレインのセリン129のリン酸化が生じる事をウェスタンブロットにてWAKO社およびEPITOMICS社の抗リン酸化シヌクレイン抗体にて確認。さらに長期間(5-7日間)の培養を行い、細胞内凝集体が出現することを免疫組織化学法にて、細胞死が生じる事をcleaved caspase-3抗体などを用いたウェスタンブロットにて確認する。また、グルコセレブロシダーゼ-カテプシン経路はグルコセレブロシダーゼを始点として考えているが、カテプシンBの活性化が他のリスク遺伝子(LRRK2、BST1など)によっても生じるかどうかをこれら細胞に発現させ同様の検討を行う。次いでカテプシンBに対する阻害剤およびsiRNAを用い、グルコセレブロシダーゼ-カテプシン経路を抑制する実験を試みる。このときにα-シヌクレインのリン酸化、および細胞内凝集体形成が減弱するかを確認。さらに細胞死が抑制される条件を見出していく。以上から、グルコセレブロシダーゼ-カテプシン経路が神経変性に関わっており、さらに本経路の抑制が細胞保護的に作用することを証明する。
ウェスタンブロットに必要となる試薬一式、各種抗体等の消耗品の購入、学会発表への旅費、さらに論文投稿料として使用する。
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