研究課題
本研究は、プロテオーム解析の手法を用いて、脱髄型ギラン・バレー症候群(GBS)における自己免疫の標的分子を同定し、病態の解明とそれに基づく新規治療法の開発を目的とする。これまでの知見から、脱髄型GBSの標的分子は末梢神経ミエリンの構成蛋白質ではなく、Schwann細胞外層表面に発現する蛋白質であると予想されるため、Schwannomaの細胞株から抗原蛋白質を抽出し、そこから標的分子を探索した。これまでの研究では、Schwannoma培養細胞から抽出した蛋白質を2次元電気泳動法で展開し、脱髄型GBS 5症例の患者血清中IgGと免疫反応する抗原候補蛋白質をWestern Blottingにより評価し、反応のみられた抗原蛋白質を、質量分析計とデータベース解析で431個同定した。それらの蛋白質の中から、これまで報告されているその蛋白質の機能、Schwannoma培養細胞内での局在情報、GBS発症に係わる先行感染の起因病原体別の解析から、脱髄型GBSの抗体標的分子を3つの蛋白質にまで絞り込んだ。これらの抗原を用いて、脱髄型GBS患者血清中IgGとの反応を検証し、脱髄型GBS 22症例中7症例(32%)で抗体陽性となる抗原候補蛋白質を認めた。この蛋白質に対する自己抗体は、正常対照や軸索型GBSではほとんど認めないことから、脱髄型GBSの病態に、特異的に関連する可能性が示唆された。Schwannoma細胞の蛍光免疫染色で、患者血清が抗原候補蛋白質の存在部位を認識することを確認し、その局在から髄鞘化に関連することが示唆された。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件)
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