研究課題/領域番号 |
23790990
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
谷口 美也子 鳥取大学, 医学部, 助教 (50335527)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | アルツハイマー型認知症 / 診断マーカー / 糖タンパク / 糖鎖 |
研究概要 |
本研究の目的は、アルツハイマー型認知症(AD)の髄液・血液中の糖タンパク(トランスフェリンと免疫関連タンパク2種)の糖鎖異常を測定する系を確立し、有効性を検討することである。本年度は、まず糖鎖異常部位を確定するために糖タンパクの血液中からの精製と糖鎖解析を行った。免疫関連タンパクは、免疫沈降法によって精製した後さらにアクリルアミドゲルによるSDS-PAGEによって目的のバンドを切りだし、糖鎖を精製、標識後MALDI-TOFとLC-MSによって解析した。MALDI-TOFでは明確な差異を検出することはできなかった。しかしLC-MSの結果では、対照群と比較してADの血液中ではマンノースの数が異なる糖鎖パターンが検出され、マンノースの差に着目した測定系を確立することによってADの糖鎖異常を測定する系ができることが示唆された。トランスフェリンに関しては、免疫関連タンパクの精製に時間を費やしたため、トランスフェリンの精製に至れなかったが、イオン交換クロマトグラフィーでの精製の準備を進めており、精製ができ次第解析を行う予定である。また、学内の機器(LC-MS)での測定の準備も進めており、現在までは外注によって糖鎖解析を行っていたが今後は大量の検体の解析が見込まれる。トランスフェリン、免疫関連タンパク共に、多数例での糖鎖解析を行うこと、今年度は血液中のタンパクしか解析できなかったが、次年度以降は髄液の糖鎖の解析も視野に入れて研究を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
免疫関連タンパクの精製に時間がかかりすぎてしまった。当初、免疫沈降の手順(反応時間や溶出)に問題があるものと考えて試行錯誤していたが、免疫沈降に用いる抗体を変更することによって解決できた。それに伴って、糖鎖の解析に至るまでが時間がかかってしまったため。
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今後の研究の推進方策 |
免疫関連タンパクの精製に手間取っていたが、手法が確立しため、今後は迅速に多数例の検体からの解析を試みる。また学内でのLC-MS解析が可能になるよう準備を進めている。このことによって、今まで外注で時間や費用がかかっていたものを短縮できると考えられる。またトランスフェリンは、イオン交換クロマトグラフィーによって精製し、1種の検体から多量の検体を得ることができ、糖鎖の解析もスムーズに行えると考える。精製の手法が確立した際には、多数例の髄液・血液検体で糖鎖解析を行い、ADにおける糖鎖異常部位を同定する。さらに、同時進行としてレクチンによる測定系の検討も行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
2種の糖タンパク精製の際に用いる抗体やイオン交換クロマトグラフィーの試薬・消耗品の購入に使用する。さらに、同時進行で行うレクチンによる測定系のためのレクチンや試薬・消耗品の購入に使用する。また、血液や髄液の糖鎖異常に関する論文の投稿費用として、得られた成果の学会発表のための旅費として研究費を使用する。
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