研究課題
アルツハイマー病 (Alzheimer’s disease: AD)に特徴的な老人斑アミロイドはAβ蛋白からなり,Aβの蓄積がADの発症や進展に関与しているとするアミロイド仮説は現在ADの病因として広く受け入れられている.ヒトではLRP1とABCG2が, 血液脳関門(BBB)を介したAβ除去機構に関与していることを示す研究成果をH24年度に報告した.また,LRP1とABCG2に加え,p-gpもBBBを介したAβ除去機構に関与しているとする報告も散見される.その一方で,これらのAβ除去機構に携わっている分子の発現を制御するメカニズムは未解明であった.最近,マウスの個体やマウス由来の脳微小血管内皮細胞株を用いた実験系で,リファンピシンがBBBのLRP1とp-gpの発現を増加させるという報告がなされた.最終年度であるH25年度は,リファンピシンがヒトのAβ輸送に関与しうる分子の発現を制御しうるかどうかをヒトBBB由来内皮細胞株(TY09株)を用いて検討した.結果,TY09細胞にリファンピシンを作用させるとLRP-1とABCG2の発現が増加した.この事実は,リファンピシンはヒトのBBBに発現する LRP1とABCG2の発現を増加させ,脳から血液側へのAβ蛋白輸送を促進させる可能性があることを示唆している.この知見は,Aβの脳内濃度を減少させるという新たなADの治療あるいはADの予防法開発に進展しうるという点で非常に意義深いものである.
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