研究概要 |
胸腺の髄質は自己反応性T細胞の負の選択による除去と、制御性T細胞(regulatory T cells, Treg)の産生という少なくとも2つの点で、自己寛容の成立に重要な役割を担っている。我々は、重症筋無力症(Myasthenia Gravis, MG)患者の胸腺内Tregの産生は減少していないとする研究結果を報告した。そこで、ハッサル小体に着眼したところ、MG患者胸腺でもとりわけ過形成胸腺において、Involucrin陽性のハッサル小体が増加していることを見い出した(論文投稿予定)。ヒトやマウスのハッサル小体は、髄質上皮細胞の最終分化において、特徴的な分子Involucrin を発現することがすでに報告されている。またMG患者の過形成胸腺でCCL21の過剰発現も認めた。MG患者胸腺においては、胸腺髄質上皮細胞の最終分化が変調し、自己反応性T細胞の産生に関わっている可能性が示唆された。
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