これまで、既知の原因遺伝子変異を認めないパーキンソン病症例群から血族婚があり且つ同胞発症者が2人以上存在する14家系(22症例)について全ゲノム90万のSNPタイピングを行った結果4家系において1番染色体に共通のオート接合性領域を見出した。さらに、2家系を対象に次世代シークエンサーにより候補領域の塩基配列解析を行った結果、7箇所の1塩基置換1箇所の1塩基挿入を同定した。次に多数の健常者において候補遺伝子変異の有無を確認し、候補原因遺伝子として一つの遺伝子を同定した。この遺伝子ついて500例の家族性パーキンソン病において変異解析を実施したが、新たに変異は認められなかったため確実に原因遺伝子である結論には至らなかった。今後、解析対象を4家系に増加し、候補領域を濃縮・精製し、次世代シークエンサーを用いて候補遺伝子を網羅的に解析し引き続き変異スクリーニングを行う予定である。 また、変異スクリーニングを実施中に既知の家族性パーキンソン病の原因遺伝子であるVPS35変異陽性症例を見出した。稀ではあるが、本邦では欧米より頻度が高く創始者効果はなく、D620Nは人種を超えたホットスポットである可能性が示唆された。
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