研究課題/領域番号 |
23791006
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
中村 正孝 関西医科大学, 医学部, 助教 (80575142)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 国際研究者交流 / アメリカ / pSmad2/3 / Smurf2 / ALS |
研究概要 |
TAR DNA Binding protein-43(TDP-43)はユビキチン陽性封入体を伴う前頭側頭葉変性症(FTLD-U)や筋萎縮性側索硬化症(ALS)のユビキチン陽性封入体の主要な構成蛋白として同定された。しかし脳内に認められる封入体にはC末断片が豊富に存在しているが、N末断片は少ない。一方脊髄に認められる封入体では、C末断片もN末断片も認められることから、同じTDP-43陽性封入体でも変性部位により、異なる変性機序が存在することが推測される。本研究は、TDP-43陽性封入体の部位別の変性機序の理解を進めることを目的とする。以前、ALSの脊髄前角細胞のTDP-43陽性封入体にTGF-βの主要なシグナル因子であるpSmad2/3が陽性反応を示すことを報告したことから、今回pSmad2/3とそのE3リガーゼであるSmurf2に関して、ALSの様々な部位におけるTDP-43陽性封入体が、同様の免疫反応を示すか否か免疫組織化学的検討を行った。結果、ALSの脊髄前角細胞と延髄舌下神経細胞のTDP-43陽性封入体には、pSmad2/3とSmurf2の免疫反応を認めたが、Betz細胞や海馬顆粒細胞などの脳内におけるTDP-43陽性封入体には、これらの免疫反応は認められなかった。このことから、ALSでは部位により、封入体形成過程や神経変性が異なることが推測された。この結果はALSの病態解明への新しい知見を得た点で意義があるものだといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
TGF-βシグナルの観点から、ALSにおけるTDP-43陽性封入体の部位別神経変性機序が異なることを見出した。同内容を学会で発表し、論文にまとめあげることができたことから、当初の計画以上に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ウエスタンブロッティング法による半定量的な解析を行うとともに、培養細胞を用いて封入体形成とTGF-βシグナルの関与について検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は、実験が順調に進展し、予想以上に早く結果を見出すことができたために、次年度に使用する予定の研究費が生じた。翌年度以降、培養細胞を用いた実験の消耗品などにあてる予定である。
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