研究課題/領域番号 |
23791007
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
紀 嘉浩 独立行政法人理化学研究所, 構造神経病理研究チーム, 研究員 (80415140)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | ポリグルタミン / RNA結合タンパク質 / 神経変性疾患 / リピート伸長疾患 |
研究概要 |
ポリグルタミン病はコード領域に存在するCAGリピートの伸長によって引き起こされる神経変性疾患の総称である。その原因遺伝子の多くは機能が未知で、ポリグルタミン鎖以外の目立った共通点は無いとされてきた。しかし、近年の研究からは、過半数が転写調節複合体(AR、TBP、DRPLA、ATXN1、ATXN7)やRNA結合タンパク質(ATXN1、ATXN2)といった部類のタンパク質をコードしていることが明らかであり、RNA代謝との強い関連が見られる。伸長したポリグルタミンは、自己凝集するだけでなく、異常なタンパク質結合能を獲得し、それが生体内分子経路を阻害する可能性が有力である。所属研究室の先行研究においては、RNA結合タンパク質であるTLS/FUSやTIA-1がポリグルタミンと生体内およびin vitroで相互作用することを示している。しかし、ポリグルタミン病においては転写制御異常がよく知られているものの、より広範なRNAプロセシング異常については、ほとんど検討がなされていない。本課題では、ポリグルタミンによる異常な影響を受ける可能性のある分子群としてRNA結合タンパク質を解析し、ポリグルタミン病におけるRNA代謝異常の実態とその機構を明らかにすることを目的とする。 本年度は、マイクロアレイを用いたポリグルタミン病モデルマウスの解析により、RNAプロセシング異常を検討した。その結果、新規のRNAプロセシングの異常の存在が示唆された。また、ミニ遺伝子を用いた実験系で、伸長ポリグルタミンがRNAプロセシング異常を引き起こすことも見出した。この異常に関わるタンパク質を同定するためにRNAiによるRNA結合タンパク質の発現抑制を検討したところ、複数のタンパク質が候補として得られた。興味深いことに、これらのタンパク質の一部は、伸長ポリグルタミンと細胞内で共凝集することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度予定していたマイクロアレイ解析がまだ一部残っているが、次年度予定していた研究を一部先行して開始することができた。従って、実験が前後したものはあるものの、全体としては順調であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後もおおむね予定していた通りの内容で研究を推進していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、本年度に実験が間に合わなかったマイクロアレイの解析に用いる予定である。それ以外に関しては、当初の予定に基づいて使用する。
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