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2011 年度 実施状況報告書

抗MuSK抗体陽性重症筋無力症の治療薬の探索~新規モデル動物を用いた解析~

研究課題

研究課題/領域番号 23791009
研究機関地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所)

研究代表者

森 秀一  地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (30508677)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード神経筋シナプス / 重症筋無力症 / MuSK
研究概要

抗MuSK抗体による重症筋無力症 (MuSK-MG) は、急激に症状が悪化したり筋萎縮に至る重症ケースが多いため、早急に治療の方針計画を立てる必要がある。しかしながら、現在の治療指針は抗AChR抗体による重症筋無力症に合わせて策定されているため、成因の全く異なるMuSK-MGの病態に必ずしも適さない可能性がある。本研究では、申請者が作製したMuSK-MGの画期的な新規動物モデル (100%の確率で同調して疾患を発症する) を用いて、MuSK-MGに対して真に有効な治療法・治療薬を探索・検討し、新たな治療指針を提言することを目的とする。 平成23年度は、MuSK-MGの新たな対症治療薬の探索を目的として、Kチャネル阻害薬の3,4-ジアミノピリジン (DAP) の効果を解析した。MuSKタンパクを免疫して重症筋無力症を発症させたマウスに3,4-DAP を投与し、反復神経刺激による筋活動電位の減衰率の変化からその有効性を評価した。その結果、減衰率の劇的な減少だけでなく、活動電位の振幅にも大幅な増加が認められたことから、3,4-DAPが筋の易疲労性を改善し、最大発揮筋力を増加させる可能性が示された。さらに、発症したマウスから横隔膜を採取し、神経筋シナプスの刺激伝達に対する3,4-DAPの効果をin vitroで直接的に評価した結果、3,4-DAPは主に、運動神経終末からアセチルコリンの放出量を増加させて神経筋シナプスの刺激伝達を改善させていることが明らかとなった。MuSK-MGの病態はポストシナプス側の感受性低下だけでなく、プレシナプス側の機能低下にも起因していると考えられているため、3,4-DAPはMuSK-MGの対症治療薬として有効である可能性が示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

作製した動物モデルの解析や治療薬の評価を含めて、これらの成果を様々な学会で発表し、さらに複数の論文として公表することができたため、順調に進展していると考えている。

今後の研究の推進方策

作製した動物モデルの解析から、MuSK-MGは神経筋シナプスの形態・機能の維持機構が破綻することで発症することが明らかとなってきた。MuSKはポストシナプス側に発現している分子であるが、その機能抑制による障害はポストシナプスだけでなくプレシナプスにも及んでいる。これは、正常時にはポストシナプスからプレシナプスへと作用するtrophic factorが存在し、シナプスの機能・形態を維持している可能性を示していることから、神経筋シナプスの維持機構を解明することが、MuSK-MGの病態機序を理解する上で重要であると考えている。従って、今後は遺伝子改変マウスと疾患動物モデルを組み合わせて神経筋シナプスの維持機構を解明し、MuSK-MGの新規治療法を探索することを考えている。

次年度の研究費の使用計画

MuSK-MGを発症させた遺伝子改変マウスの筋から神経筋シナプスで特異的に発現している遺伝子を精製し、マイクロアレイ法、次世代シークエンサーによるmRNA配列解析により疾患特異的に発現が増減変動する遺伝子を解析する。さらに、Gene Ontology解析、パスウェイ解析から神経筋シナプスの維持機構に関与する遺伝子群のネットワークを同定していく予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Antibodies against muscle-specific kinase impair both presynaptic and postsynaptic functions in a murine model of myasthenia gravis.2012

    • 著者名/発表者名
      Mori S, Kubo S, Akiyoshi T, Yamada S, Miyazaki T, Hotta H, Desaki J, Kishi M, Konishi T, Nishino Y, Miyazawa A, Maruyama N, Shigemoto K.
    • 雑誌名

      Am J Pathol

      巻: 180 ページ: 798-810

    • DOI

      DOI:10.1016/j.ajpath.2011.10.031

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Divalent and monovalent autoantibodies cause dysfunction of MuSK by distinct mechanisms in a rabbit model of myasthenia gravis.2012

    • 著者名/発表者名
      Mori S
    • 雑誌名

      Journal of Neuroimmunology

      巻: 244 ページ: 1-7

    • DOI

      10.1016/j.jneuroim.2011.12.005

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 3,4-diaminopyridine improves neuromuscular transmission in a MuSK antibodies-induced mouse model of myasthenia gravis.2012

    • 著者名/発表者名
      Mori S
    • 雑誌名

      Journal of Neuroimmunology

      巻: 245 ページ: 75-78

    • DOI

      10.1093/jb/mvr109

    • 査読あり
  • [学会発表] MuSKとDok-7の相互作用は神経筋シナプスの維持に重要である.2011

    • 著者名/発表者名
      森秀一
    • 学会等名
      第66回日本体力医学会大会
    • 発表場所
      下関
    • 年月日
      2011年9月17日
  • [学会発表] Distinct mechanisms between divalent and monovalent MuSK antibodies involved with dysfunction of MuSK leading to myasthenia gravis.2011

    • 著者名/発表者名
      Mori S
    • 学会等名
      第34回日本神経科学会大会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2011年9月15日
  • [学会発表] Distinct mechanisms between divalent and monovalent MuSK antibodies involved with dysfunction of MuSK leading to myasthenia gravis.2011

    • 著者名/発表者名
      Mori S
    • 学会等名
      Society for Neuroscience
    • 発表場所
      Washington DC
    • 年月日
      2011年11月15日
  • [図書] 運動神経細胞とサルコペニア2011

    • 著者名/発表者名
      重本和宏
    • 総ページ数
      2
    • 出版者
      新興医学出版社
  • [備考]

    • URL

      http://www.tmghig.jp/J_TMIG/j_research/DA33.html

URL: 

公開日: 2013-07-10  

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