研究概要 |
1,アミノ酸トランスポーター及びmTOR経路活性化因子Rhebを組み込んだアデノウイルスの作製・維持―(1)昨年度作製したアミノ酸トランスポーター(SNAT2)を組み込んだアデノウイルスを培養細胞を用いて系統維持を行った。(2)本年度mTOR経路活性化因子Rhebを組み込んだアデノウイルスを新たに作製、培養細胞を用いて系統維持を行った。 2,SNAT2及びRhebアデノウイルスを肝臓に発現したモデルマウスの作製―(1)昨年度に引き続き、SNAT2アデノウイルスを肝臓に発現し、後天的な遺伝子導入モデルマウスを作製した。(2)本年度Rhebアデノウイルスを肝臓に発現し、後天的な遺伝子導入モデルマウスを作製した。(3)これらのモデルマウスを解析することにより、実際に肝臓でのアミノ酸含有量は増加しており、また肝臓におけるmTOR/S6K経路は活性化していた。これらのマウスモデルの糖・脂質代謝パラメーター解析の中で、対象群に比べて血清脂質プロファイルに変化を認めた。 3,肝臓への過剰発現が他の組織・臓器に及ぼす影響の検討―これらのアデノウイルスを肝臓局所に発現すると、脂質代謝に変化を及ぼす関連遺伝子の変化の中で、白色脂肪組織ではリポ蛋白リパーゼ(LPL)の発現の減少を認めた。LPLの他の産生部位と考えられる心筋や骨格筋ではそのLPLの発現の変化は認めなかった。 4,肝臓から他の臓器への情報を伝達する機序の検討―肝臓から脳への求心性の神経系の関与を想定し、まずはマウスに迷走神経肝臓枝の選択的な切断術を施行した。次にこのマウスの肝臓に遺伝子導入を行うことにより、先に認められた代謝変化にどのような影響を及ぼすのか、現在検討を継続している。
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