研究課題
本研究は小胞体ストレス応答の血管リモデリングと粥状動脈硬化に果たす役割の検討を目的にする。WFS1欠損マウスを中心とした解析から、血管リモデリングや粥状動脈硬化の発症・進展における小胞体ストレスの役割を明らかにし、生体内の小胞体ストレス応答を調節することによる動脈硬化に対する新規予防・治療法の可能性を探ることである。具体的実施した研究1)WFS1欠損マウスにおける炎症による反応性内膜肥厚の検討としてはマウスの大腿動脈にカフ傷害を施し、3週間後に同部位の動脈を採取、内膜の肥厚度を検討し、同部位の免疫組織学的検討とmRNAを抽出し、炎症反応や小胞体ストレス、酸化ストレスに関連した分子の発現を検討する。2)動脈硬化のモデルマウスのアポE欠損マウスと交配し、高コレステロール血症を背景とする粥状動脈硬化の進展をWFS1の有無で検討可能なモデルを作成した。動脈硬化病変を定量化し、大動脈のmRNAを抽出し、炎症反応や小胞体ストレス、酸化ストレスに関連した分子の発現及び大動脈の免疫組織学特にマクロファージやアポトーシス、小胞体ストレス関連、酸化ストレス関連蛋白に関して検討した。続いて、3)骨髄移植を用いた反応性内膜肥厚と粥状動脈硬化の検討を行い、それぞれドナーとレシピエントの組み合わせによって、全身と骨髄のWFS1有無の4群のマウスを作成し、動脈硬化における血球細胞(マクロファージ)と血管細胞(内皮や平滑筋細胞)でのWFS1の役割を解析した。4)血管内皮細胞、血管平滑筋細胞、マクロファージの各培養細胞におけるsiRNAを用いたWFS1ノックダウウンの検討し、WFS1発現抑制による小胞体ストレス・酸化ストレス応答などへの効果を個別に直接解析した。
すべて 2012
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
Circulation
巻: 125 ページ: 1122-1133
10.1161/CIRCULATIONAHA.111.054346
Cardiovascular Research
巻: 97(1) ページ: 106-114
10.1093/cvr/cvs298