2次元電気泳動によりミトコンドリアSIRT5の基質タンパクの候補として同定されたurate oxidase (UOX)のSIRT5による機能調節機構を明らかにした。まず、UOXの細胞内局在がミトコンドリアとするものと、ペルオキシソームとするものの2つの報告がこれまでになされていることから、UOXの局在を明確にすることを行った。マウス肝臓粗ミトコンドリア画分を密度勾配遠心により、ミトコンドリアとペルオキシソームを分離した結果、UOXはミトコンドリアとペルオキシソーム双方に存在することが明らかとなった。次に野生型マウスとSIRT5過剰発現トランスジェニックマウス(SIRT5 Tgマウス)を用い、UOXのアセチル化レベルを調べたところ、SIRT5 Tgマウスにおいて野生型に比べ有意に低下していることが確認された。またUOXの活性の変化を調べたところ、SIRT5 Tgマウスにおいて活性化されていることが明らかとなった。さらに肝臓ミトコンドリアタンパクを用い、SIRT5の免疫沈降を行ったところ、UOXがSIRT5と共に沈降し、UOXとSIRT5は直接相互作用していることが明らかとなった。これらのことから、SIRT5はUOXを直接脱アセチル化することで活性化させることが解明された。以上の結果より、UOXはプリンヌクレオチド由来の尿酸をアラントインに異化する酵素であることから、絶食時において筋肉中に存在する核酸の分解過程で生じた尿酸を肝臓において速やかに異化し、水溶性の高いアラントインにすることで、排泄を促進する働きを持つことが推測される。
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