研究概要 |
1効率的なヒトiPS細胞からの脂肪細胞分化誘導法の確立:申請者らはこれまでにヒトiPS細胞が胚様体(EB)形成を介する分化誘導法にてヒトES細胞に相当する脂肪細胞への分化能をもつことを報告した(FEBS Letters 2009)。iPS細胞由来脂肪細胞の機能解析及び細胞治療には脂肪細胞の純化が大きな課題である。従って前駆脂肪細胞や中胚葉系幹細胞の特異的な表面抗原等を用いた単離による細胞系譜特異的な分化誘導法の確立が必要である。申請者らはヒト多能性幹細胞からの前駆脂肪細胞の単離を目指して、ヒトiPS・ES細胞由来間葉系前駆細胞 (Methods Mol Biol. 2011)の分化誘導に成功し、CD34, CD73, CD90, CD105, CD140a, CD166等の表面マーカーの発現パターン解析に関してヒト骨髄由来間葉系幹細胞との比較検討を行った。 2脂肪萎縮症患者からの疾患特異的iPS細胞作製:京都大学医学研究科・医学部医の倫理委員会からの承認(第824番)を得て、京都大学iPS細胞研究所と連携し脂肪萎縮症患者から皮膚組織を採取しOct3/4, Sox2, Klf4, c-Mycの4因子のレトロウイルスを用いて疾患特異的iPS細胞を作製した。先天性脂肪萎縮症患者5例と後天性脂肪萎縮症患者2例と部分性脂肪萎縮症患者1例から疾患特異的iPS細胞を樹立している。未分化遺伝子の発現解析とin vitro及びin vivoでの三胚葉系への分化能の検証を行い、ヒトES細胞に匹敵する多能性幹細胞であることを検証した。 3in vitro 脂肪細胞分化誘導系を用いた脂肪萎縮症の成因・病態の解明:一部の疾患特異的iPS細胞で脂肪蓄積、脂肪細胞関連遺伝子発現等に関して健常者由来iPS細胞との比較検討を行った。
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