研究概要 |
膵β細胞のオートファジーのターゲット分子の同定は、2型糖尿病における膵β細胞機能不全の病態解明に繋がることから、Atg7f/f;Creとコントロール(Atg7f/f)マウスの膵島内の発現タンパクをプロテオミクスの手法を用いて比較検討した。Atg7f/f;Cre膵島に新規発現・増加がみられた4つのタンパク質Armet, Hadh, ERp57(PDIA3), ERp59(PDI)を同定した。この4つのタンパクに関して1D-WBにて再現性を確認したところ内分泌細胞の小胞体品質管理において中心的役割を果たしているジスルフィドイソメラーゼであるERp57とERp59のタンパク発現がAtg7f/f;Creで増加していることが確認された。一方、ArmetとHadhは1次スクリーニングの再現は得られなかった。我々はすでにドキシサイクリン誘導性Atg7 ノックダウンINS-1細胞(ラットインスリノーマ細胞株)を作製しており、同細胞においてもERp57とERp59のタンパク発現の増加を確認できた。今後、1) 同タンパクの変化がオートファジーによる特異的な変化なのか、小胞体ストレス負荷や薬剤誘導性オートファジー不全モデルを用いて検討する、2) 最近の研究では、ERp57がプログラム細胞死に関与している可能性が示唆されており、特異的阻害剤やsiRNAの手法を用いてERp57とERp59の機能解析を行う予定である。
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