研究課題/領域番号 |
23791056
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤井 寿人 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (50537347)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | C型ナトリウム利尿ペプチド / 骨代謝 / 成長板軟骨 |
研究概要 |
CNP/GC-B/cGMP系とTGFβ/BMPファミリーの相互作用を明らかにするためにまずCNPがBMPの下流シグナルに与える影響から検討した。ICRマウスの脛骨を取り出してVehicle群、CNP単独添加群、BMP2単独添加群、BMP2およびCNP共添加群の4群に分けて4日間器官培養を行った。その結果、Vehicle群に比較してCNP単独添加群、BMP2単独添加群では脛骨長の増加を認めたが、BMP2およびCNP共添加群では予想よりも脛骨長の増加は少なかった。次に、軟骨前駆細胞であるATDC5におけるウエスタンブロット法を用いてBMP2単独添加群とBMP2およびCNP共添加群においてBMP2の下流シグナルである転写因子smad1/5/8のリン酸化タンパク量を検討した。その結果、smad1/5/8のリン酸化タンパク量はBMP2単独添加群に比較してBMP2およびCNP共添加群において減少を認めた。よって、CNPはBMP下流シグナルを阻害することが示唆された。 次に、軟骨前駆細胞であるATDC5においてBMPのさらに下流の標的遺伝子であるIdファミリーやRunx2、p21のmRNA発現量をVehicle群、CNP単独添加群、BMP2単独添加群、BMP2およびCNP共添加群の4群で定量PCR法で比較した。その結果、Vehicle 群と比較してBMP2単独添加群では著明な発現増加をIdファミリー、Runx2、p21それぞれで認めた。それに対して、BMP2およびCNP共添加群ではBMP2単独添加群と比較してIdファミリー、Runx2、p21の発現量の低下を認めた。よって、CNPはBMP下流シグナルを阻害することが示唆された。 以上の結果からいづれの検討からもCNPがBMP下流シグナルを阻害することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験計画を順調にこなし、実験結果も新規性に富み、興味深い結果を得ている。また、実験を繰り返し行い、検討を重ねることで結果の信頼性を上げることができた。しかし、その反面、実験を繰り返すことで時間がかかり、全体の進捗に遅れが生じてしまった感が否めない。また、当初の計画はかなり順調に実験が進んだことを想定して作成したことも影響していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
実験計画を順調にこなし、実験結果も新規性に富み、興味深い結果を得ていることから、この結果をさらに発展させるために生体における生理的な意義を確認することを主眼としてさらなる検討を当初の研究計画に従って行っていくこととする。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度の研究進捗がやや遅れたこともあり、42万円程度の繰越金が発生した。よって、この繰越金を平成24年度分の予算と合算して当初の研究計画に従って、平成23年度分の残りの研究計画と平成24年度分の研究計画を実施していくこととする。具体的にはBMPは軟骨細胞の増殖・分化に影響を与えていることが明らかとなっていることからATDC5およびマウスの脛骨を用いて細胞増殖および分化に対する影響を検討する。さらに、BMPは細胞周期およびアポトーシスに影響を与えることが報告されていることからATDC5およびマウスの脛骨器官培養における影響を検討する。加えて、CNPノックアウトマウスやCNPトランスジェニックマウスなどの遺伝子改変マウスを用いてその筋肉内にBMP注射を行うことで異所性骨化を誘導しCNPの影響の有無を解析する。
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