研究課題
平成23年度の研究では、Aldo産生能を有する副腎皮質細胞株細胞を用い、AT1受容体選択的阻害薬ARB、対照としてCa拮抗薬CCBを用いたAldo産生能の経時変化を検討した。[1]RadioimmunoassayによるAldo測定により、AngII刺激下で副腎皮質細胞におけるin vitroでのARB/CCBの容量依存的なAldo抑制効果の検討を行う。 [2]副腎皮質細胞に対してAng IIによる定位時間毎の刺激を行い、ARB/CCB処理下における培養液中のAldo分泌量を経時的に測定し、細胞レベルでどの時点で明らかなAldo分泌抑制の解除が生じるかを検討する。 [3]ARBによる副腎皮質細胞レベルでのブレイクスルーが観察された場合は、ARB処理をしたcontrol群、Ang II群、Ang II+ARB群より経時的に細胞からRNA/proteinを抽出し、発生前と後でのAT1受容体およびステロイド合成酵素の発現レベルの変化をmRNAレベル/蛋白レベルで確認する。[4]BMPシグナルの変化:BMP-6、BMP受容体、Smad1/5/8の発現変化およびSmad1/5/8シグナルの変調を検討する。[5] Ang II刺激下でのBMP-6によるAldo産生の増強作用に対するARB/CCBの影響について、Ang IIの細胞内シグナルの変化に着目して、Immunofluorescence法、Western blotting法により検討し、さらにreporter gene assayによりBMPシグナル強度を定量評価する。[6]ブレイクスルー現象の発生機序に内因性のBMP-6が関与する可能性を検討するために、内因性BMP-6作用を非侵襲的に阻害する実験を行う。繰越金については、物品購入時の消費税などで端数が発生したためであり、研究自体の実施状況の影響はない。次年度物品購入に使用予定。
2: おおむね順調に進展している
おおむね順調に進展している
前年度の結果をふまえ、研究を継続していく。
アルドステロン分泌制御に関連する他の因子として、Endothelin(ET)およびACTHとBMP-6作用との関連、さらに実験動物を用いたin vivoでのブレイクスルーにおけるBMP-6/Endothelinの意義を明らかにする。[1]最適化した副腎皮質培養条件下において、各副腎皮質細胞においてARB長期処理によるブレイクスルーを誘導し、これにETA/ETB阻害薬であるBosentanを用いたうえで、ブレイクスルー発生の有無・変化を確認する。その時点の前後でのtotal RNAおよび蛋白を抽出して、Aldo合成酵素系およびAT1, ETA/ETB受容体の発現変化を確認する。ついでBMP-6によるAng II-ERK1/ERK2経路の増強を介したAldo分泌機序において、ET1-ETA/ETBの関与を明らかにする。これらの一連の検討から、我々の提唱するBMP-Ang IIシグナルクロストークによるAldo分泌機序にET系がどの程度関連しているかが明らかになると考えられる。[2]さらにもう一つのAldo分泌因子ACTHについても、我々のデータに基づきACTH-activin連関を介したAldo分泌機構によるブレイクスルーへの関与を検討する。 [3]ARBによるブレイクスルー現象が確認されている自然高血圧発症ラット(SHR)を用いてin vivoで検討を行う。SHRおよび対照群WKYラットに対してARB経口慢性投与により生じるブレイクスルー現象が、BMP-6中和抗体投やBMP-6-KLHハプテン抗原を反復投与して能動的免疫現象を誘導することによって、ブレイクスルー効果が減弱するか検討する。各週齢において、尿中・血中Aldo値、血圧の変化、副腎皮質におけるAT1R、AT2R、MR、BMP-6、BMP受容体の発現をreal-time PCR・免疫染色を用いて検討する。
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