• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実施状況報告書

妊娠期の膵β細胞増殖におけるセロトニンシグナルの役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23791064
研究機関順天堂大学

研究代表者

豊福 優希子  順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (70598078)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワードセロトニン / 妊娠 / 膵β細胞
研究概要

本研究の申請した際の研究目的として、妊娠期の膵β細胞増殖には、セロトニンによる5-HT1b受容体とSERTを介したERKの活性化から引き起こされる細胞増殖シグナルが関与しているのではないかということを仮説として挙げた。実際に、細胞増殖が最も活発になる時点での5-HT1b受容体の発現増加、SERTの安定的な発現は以前の検討において確認していたが、今年度、本研究を遂行するに当たり、妊娠期間中での継時的な発現変化についての検討を行った。その結果、5-HT1b受容体については、膵β細胞内でのセロトニン合成の律速酵素であるTph1、Tph2の発現が増加し始める妊娠6.5日目から徐々に発現が増加し始め、細胞増殖最も活発になる12.5日目以降の発現が高くなっていることが確認され、SERTについては、妊娠期間中において、安定して発現していることが確認された。つまり、セロトニン→5-HT1b&SERT→ERKというシグナルが妊娠後期に活発に働いている可能性を示唆する結果が得られた。その結果を基に、妊娠6.5日目から、5-HT1b、SERTのantagonist投与実験を行ったところ、膵β細胞量に対する影響については、通常状態でも1.5倍ほどの増加と変化率が小さいため、影響を及ぼしているか否かの検討は不可能であった。現在、細胞増殖への変化の検討を行っており、SERTについては、antagonist投与群で約2割の細胞増殖率の減少が見られる結果も得られた。しかし、antagonist投与は腹腔内投与という全身への影響を否定できない投与方法を用いているため、単離膵島を用いた培養実験を行い、直接的にセロトニンが関与する細胞増殖への影響があるか否かを検討する予定である。また、5-HT1b投与群については、現在検討中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度の研究において、5-HT1bとSERTが妊娠の細胞増殖期に発現増加、または安定的な発現をし、それぞれをブロックする検討により、SERTでは細胞増殖への影響を及ぼしている可能性を示唆する結果が得られている。ここから、さらに単離培養膵島やノックアウトマウスを用いた検討を行うことにより、仮説とした5-HT1bとSERTを介したシグナルが妊娠期の膵β細胞増殖に関与する機構について、詳細に解明していけるのではないかと考えている。

今後の研究の推進方策

本研究の今後の推進方策としては、単離培養膵島でのセロトニンによる細胞増殖への5-HT1bとSERTの関連実験、ノックアウトマウスを用いた表現型の検討を行うことによるシグナルの詳細な解析、さらには、遺伝子レベルでの5-HT1bとSERT発現調節に関する検討を行っていく。

次年度の研究費の使用計画

次年度についても、本研究を遂行するに当たり、研究するための試薬を購入するための費用と、マウス購入、維持のための費用に研究費を使用する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 妊娠による膵β細胞機能、容積変化のメカニズム2011

    • 著者名/発表者名
      豊福優希子、綿田裕孝
    • 雑誌名

      内分泌・糖尿病・代謝内科

      巻: 32 ページ: 197-203

  • [雑誌論文] 新たな治療戦略につながる糖尿病の分子標的 セロトニンによる妊娠時の膵β細胞機能・容積変化のメカニズム2011

    • 著者名/発表者名
      綿田裕孝、豊福優希子、内田豊義
    • 雑誌名

      実験医学

      巻: 29 ページ: 1226-1232

  • [学会発表] 妊娠期の膵β細胞増殖とセロトニン2011

    • 著者名/発表者名
      豊福優希子
    • 学会等名
      第84回日本内分泌学会学術総会
    • 発表場所
      神戸国際会議場
    • 年月日
      2011年4月22日

URL: 

公開日: 2013-07-10  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi