研究課題/領域番号 |
23791067
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大西 康 東北大学, 大学病院, 助教 (10509574)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 免疫学 / 移植・再生医療 / 制御性T細胞 / 樹状細胞 / CTLA-4 |
研究概要 |
Forkhead box O3a(FoxO3a)はforkhead familyに属す転写因子であり,細胞分化や生存に関与する種々の転写プログラムを制御している。我々はこれまで、ヒト単球由来樹状細胞(MoDC)におけるmRNAおよび蛋白レベルでのFoxO3a発現と、LPS刺激によるFoxO3a発現の上昇を確認している。FoxO3a発現上昇はLPS刺激によるDCの活性化に必須であるのか、免疫の過剰反応を抑制するnegative feedbackであるのかについて検討した。これまでsiRNAを用いたFoxO3aのノックダウンにより、MoDCの細胞障害が強くみられたことからsiRNAの導入方法を改変することで、より正確な免疫応答を解析することができた。この結果、MoDCにおいてFoxO3aはCD80/86の発現を抑制することで、免疫応答を負に制御している可能性が示唆された。T細胞とMoDCの共培養時においては、FoxO3aノックダウンによりT細胞分裂割合の上昇やTNFαなど炎症性サイトカインの産生上昇が観察された。一方で、MoDCのapoptosisに対しては抑制作用を有することが示唆された。FoxO3aがDCの活性化や生存を制御するメカニズムについては不明な点が多く、さらに解析を進めていく予定である。がんに対する樹状細胞療法やワクチン療法を改良するためには抗原提示細胞であるDCの機能調整に関与する分子について、更なる機能解明が不可欠である。本研究により新たな免疫療法の開発につながる知見の発見につなげたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒトの免疫細胞を用いる研究であるため、細胞の入手が必要である。この細胞の入手が困難な時期があったことが実験の遅れにつながった。
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今後の研究の推進方策 |
研究をさらに進捗させるため、ヒト免疫担当細胞だけでなく細胞株もあわせて使用し、目的とする転写因子の制御遺伝子の同定につなげていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成24年度請求額と合わせ、次年度に計画している研究の遂行に使用する予定である。
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