研究概要 |
ヒト慢性骨髄性白血病急性転化(CML-BC)サンプルでは20症例中8症例という高い頻度でHes1の発現上昇を認め、これらHes1発現高値サンプルにおいてHes1関連遺伝子の変異を全エクソンシークエンスも活用して詳細に検索した。複数の遺伝子において変異を見つけ、現在その遺伝子変異を用いたin vitro, in vivo実験を進めている。またHes1発現上昇にはHedgehog pathwayが重要であることが判明し、それに関係した実験を行っている。 Hes1によって誘導される遺伝子を発現マイクロアレイを用いて解析し、いくつかの重要な遺伝子が見つかった。その発現誘導の機序を詳細に調べたところ、Hes1がNF-kBを介して各種遺伝子を誘導し、腫瘍細胞の増殖や骨髄への生着に強く関与していることが判明した。さらにHes1によって誘導される遺伝子のKOマウスを用いたin vitro, in vivo実験を行い有意な結果を得ることが出来たので、現在論文を投稿中である。 CML-BC以外の急性白血病でもHes1が他の活性化型変異と協同して白血病を発症させるかを検討しており、Hes1とFlt3-ITDを組み合わせたin vivo, in vitro実験を進めており、両者の協調による白血病発症があることが分かりつつある。 JAK/STAT経路, Ras/Raf/MEK/ERK経路, PI3K/Akt経路など他のシグナル系とHes1の関連解析では、Hes1導入細胞株を用いた実験では、IL-3依存性の細胞株がサイトカイン非依存性になるにはJAK/STAT経路, Ras/Raf/MEK/ERK経路, PI3K/Akt経路の3経路のうち、後者2つが必須であることが判明した。 以上のように、各種実験を行い有意な結果を得ることが出来た。
|