研究課題/領域番号 |
23791078
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
山根 利之 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30452220)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 造血幹細胞 / 造血発生 / 幹細胞 / 細胞分化 |
研究概要 |
造血幹細胞は、単一細胞レベルで成体マウスへ移植し長期間にわたり造血系を再構築可能な自己複製能と多分化能を兼ね備えた細胞と定義される。胚胎内において、この定義をみたす造血幹細胞は、未分化中胚葉細胞から新規に造血細胞が形成される時期に遅れて発生する。この時間的空白を埋める細胞集団として、造血幹細胞へ分化する前駆細胞(プレ造血幹細胞)の存在が強く示唆されており、本研究課題では、以前我々の単離した発生最初期の多能性造血前駆細胞とプレ造血幹細胞の同一性について精査するとともに、プレ造血幹細胞から造血幹細胞への移行に必要な細胞外環境また細胞内因子を明らかにすることを目的とする。 本年度は、我々の単離した発生最初期の多能性造血前駆細胞の分化能について、さらに精査し、NK細胞を含めたすべてのリンパ球系譜へ効率よく分化することを明らかにし、少なくとも分化能に関しては、造血幹細胞と同義であることを確認した。またex vivo環境において造血幹細胞を出現させる培養系を確立するため、造血幹細胞が出現する以前の胎齢10日の胎仔肝臓の器官培養を行い、ex vivo培養系でBリンパ球系譜とミエロイド系譜を誘導可能なこととともに、c-Kit陽性Lin(成熟血液細胞系譜マーカー)陰性細胞の増殖を支持できることを確認した。またex vivo器官培養をせずとも、発生最初期の多能性造血前駆細胞を一定培養条件下で培養することで、c-Kit陽性Lin陰性細胞を維持させる培養系も確立できたので、これらの培養系を今後、プレ造血幹細胞の同定、細胞外ニッチの同定へ応用する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プレ造血幹細胞、ニッチ細胞の同定に必要なex vivo培養系が確立できたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後、ex vivo培養系へ発生最初期の多能性造血前駆細胞を移入し、造血幹細胞へ分化するのかどうか、マウスへの移植を通じて観察するとともに、造血幹細胞の誘導に関わるニッチ細胞を特定する。また造血幹細胞への分化にともなって変化する細胞内因子についても分子遺伝学的解析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
マウスへの移植系に必要な当施設のX線照射装置のキャリブレーションが適正でなかったため、適正X線照射量の設定に時間を要し、次年度使用額を生じた。次年度は細胞操作、遺伝子操作が多大となるため、物品費、旅費などの他、一部技術補佐員の人件費へ企てる。
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